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【2026年最新版】UAE法人税(ドバイ法人税)完全ガイド

税率・フリーゾーンのQFZP・申告期限・罰則・移転価格から、日系企業の実務対応まで

Region
UAE
Topic
会計・税務
Reading Time
15 min
Updated
Oct 2026
Executive Summary

UAE法人税(Corporate Tax)は、2023年6月1日以降に開始する事業年度から適用されています。課税所得のうちAED 375,000を超える部分に9%が課され、フリーゾーン企業はQFZPの要件を満たした場合に限り、適格所得が0%になります。申告と納付の期限は、事業年度終了後9か月以内です。

2026年は、納付遅延の罰則が年14%に改められたほか、事前確認制度(APA)が始まり、Small Business Reliefも現行規定の期限を迎えます。本ガイドでは、制度の全体像と最新の変更点、日系企業が実行すべき5つの対応ステップを解説します。

Disclaimer 本記事は、公開情報に基づく一般的な情報提供を目的として作成されており、法務・税務・会計・財務に関する専門的なアドバイスを構成するものではありません。情報の正確性・完全性について万全を期しておりますが、内容は予告なく変更される場合があります。具体的なご判断・対応にあたっては、必ず専門家にご相談ください。© 2026 Biz Easy FZCO. All rights reserved.

エグゼクティブサマリー

  • UAE法人税は2023年6月1日以降に開始する事業年度から適用。課税所得AED 375,000超の部分に9%
  • フリーゾーン企業も登録・申告が必要。QFZPの要件を満たした場合に限り、適格所得が0%
  • 申告・納付期限は事業年度終了後9か月以内。3月決算の子会社は12月31日が期限
  • 2026年は、延滞罰則の改正(年14%)、APAの開始、Small Business Reliefの期限到来が重なる転換期

UAE法人税制度の概要

UAE法人税(Corporate Tax:CT)は、連邦政令法2022年第47号(Federal Decree-Law No. 47 of 2022)に基づき、2023年6月1日以降に開始する事業年度から施行されました。メインランド企業・フリーゾーン企業を問わず、UAE全土に適用される連邦税です。

項目 内容
施行日2023年6月1日以降に開始する事業年度から適用
法的根拠Federal Decree-Law No. 47 of 2022
管轄当局Federal Tax Authority(FTA)。手続きはオンラインポータル「EmaraTax」で行う
税率 第1段階課税所得のうちAED 375,000以下の部分:0%
税率 第2段階課税所得のうちAED 375,000を超える部分:9%
適格フリーゾーン法人QFZPの適格所得:0%、それ以外の課税所得:9%
大企業グループ連結売上€7.5億以上の多国籍企業グループ:DMTTにより実効税率15%まで
源泉税0%
Note

AED 375,000の基準額は、閣議決定2022年第116号で定められています。9%は課税所得全体ではなく、AED 375,000を超える部分にだけ課されます。

課税対象者と免税対象者

課税対象者

UAE法人税の納税義務者は、主に次のとおりです。課税所得がAED 375,000以下で税額が生じない場合でも、登録と申告は必要です。

  • UAEで設立された法人(メインランド企業・フリーゾーン企業)
  • UAE国内で実質的に管理されている外国法人
  • UAEに恒久的施設(PE)を持つ外国法人(日本法人のUAE支店など)
  • UAEで事業を行う個人のうち、事業売上が年間AED 100万を超える者

免税対象者

次に該当する者は、法人税が免除されます。多くの区分では、FTAへの申請や承認が必要です。

免税カテゴリ 概要
政府機関連邦政府・首長国政府とその省庁・機関
政府支配事業体政府が完全に所有・支配し、閣議決定で指定された事業体(指定された活動に限る)
天然資源事業首長国の課税対象となる採掘事業・非採掘天然資源事業(一定の要件あり)
適格公益事業体閣議決定で指定された慈善・公益団体など
適格投資ファンド規制を受け、一定の要件を満たす投資ファンド
年金・社会保障基金公的・私的な年金基金、社会保障基金(一定の要件あり)
Alert

フリーゾーン企業(QFZP)は免税対象者ではありません。適格所得に0%の税率が適用されるだけで、納税義務者として登録・申告の義務があります。

課税所得の計算

課税所得は、会計上の利益(原則としてIFRSに基づく財務諸表)を出発点に、法令で定められた調整を加えて計算します。実際に支払った費用でも、税務上は損金として認められないものがあります。主な調整項目は次のとおりです。

主要調整項目 取扱い
交際費・接待費50%が損金不算入
支払利息純支払利息のうち、EBITDAの30%またはAED 1,200万のいずれか大きい額を超える部分は損金不算入(超過分は繰越可能)
税務上の欠損金翌年度以降に繰り越し、各年度の課税所得の75%を上限に控除できる
関連者取引独立企業間価格(Arm's Length Price)で計算。移転価格規則が適用される
受取配当UAE居住法人からの配当は益金不算入。外国法人からの配当も、資本参加免税の要件を満たせば益金不算入
支払配当・利益分配損金不算入
罰金・罰則損金不算入

役員報酬や経営陣への報酬も、独立企業間価格を超える部分は損金として認められない可能性があります。現地社長の給与設定については、UAE法人税と役員報酬|現地社長の給与設定ポイントで詳しく解説しています。

フリーゾーン企業の法人税(QFZP詳解)

フリーゾーン企業のうち、適格フリーゾーン法人(Qualifying Free Zone Person:QFZP)の要件を満たした企業は、適格所得に0%の税率が適用されます。QFZPは自動的に認められるものではなく、事業年度ごとに要件を満たしているかどうかが判定されます。

5-1. QFZPの要件

次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 適切な実体(サブスタンス):フリーゾーン内に、事業の規模に見合った資産・従業員・経費があること
  • 適格所得の獲得:所得が、適格活動や他のフリーゾーン法人との取引など「適格所得」に該当すること
  • デミニミス基準:非適格所得が基準(5-4参照)を超えていないこと
  • 移転価格:関連者取引を独立企業間価格で行い、移転価格文書を整備していること
  • 監査済み財務諸表:監査を受けた財務諸表を作成していること
  • 9%課税を選択していないこと:通常税率の適用を自ら選択していないこと

5-2. 適格所得と非適格所得

所得の種類 主な例 税率
適格所得他のフリーゾーン法人との取引(除外活動を除く)、フリーゾーン外の者との適格活動に係る取引、一定の適格知的財産からの所得0%
非適格所得メインランドの顧客との除外活動に係る取引、フリーゾーン外の不動産に関する所得など、適格所得に当たらない所得9%
Alert

メインランドの顧客へのサービス提供は、多くの場合、非適格所得になります。フリーゾーン企業がメインランド向けの取引を増やす場合は、所得の区分と、5-4のデミニミス基準への影響を必ず確認してください。

5-3. 適格活動と除外活動

適格活動には、製造・加工、商品の取引(指定された条件のもと)、物流サービス、一定の金融・保険・再保険、本社機能・財務などのグループ内サービス、持株会社としての株式保有などが含まれます。適格活動と除外活動の範囲は財務省決定で細かく定められており、活動ごとの判定が必要です。

5-4. デミニミス基準(AED 500万または収入の5%)

非適格所得の額が、「AED 500万」または「総収入の5%」のいずれか低い額を超えると、デミニミス基準を満たさず、QFZPの地位を失います。

Example

総収入AED 2,000万の企業の場合、総収入の5%はAED 100万で、AED 500万より低いため、非適格所得の上限はAED 100万です。非適格所得がAED 150万になると、デミニミス基準を超え、QFZPの地位を失います。

5-5. 要件を欠いた場合の取扱い

QFZPの要件を1つでも満たさなくなると、その事業年度と、続く4事業年度(計5年間)は、QFZPとして扱われず、課税所得全体に通常の税率(9%)が適用されます。要件を欠く主な原因は、デミニミス基準の超過、実体の不足、監査済み財務諸表の未作成などです。

Biz Easy Note

判定の詳しい手順は、DMCC企業のQFZP税務ガイドとDAFZ企業のQFZP税務で解説しています。

2026年の制度変更と最新動向

2026年は、罰則の改正、事前確認制度(APA)の開始、小規模事業者向け特例の期限到来が重なる年です。

6-1. 納付遅延の罰則改正(2026年4月14日施行)

閣議決定2025年第129号により、税の納付遅延に対する罰則が改められました。従来の「期限翌日に2%、その後毎月4%」という方式に代わり、2026年4月14日以降は、未納税額に対して年14%の罰則が月ごとに計上される方式になりました。

6-2. Small Business Reliefの期限(2026年12月31日)

UAE居住者で、対象年度と前年度の収入がいずれもAED 300万以下の場合、Small Business Reliefを選択すると、課税所得がないものとして扱われます(財務省決定2023年第73号)。対象となるのは、2026年12月31日以前に終了する事業年度までです。適格フリーゾーン法人と、連結売上AED 31.5億超の多国籍企業グループの構成会社は利用できません。

Alert

現行の規定では、2027年以降に終了する事業年度にはSmall Business Reliefが適用されません。延長の有無は財務省の新しい決定で確認する必要があります。延長がなければ、小規模な企業でも通常の税率で納税額を計算することになるため、早めに試算しておくことをおすすめします。

6-3. 移転価格:事前確認制度(APA)の開始

FTAは2025年12月30日、事前確認制度(Advance Pricing Agreement)のガイドを公表し、国内の一方的APA(Unilateral APA)の申請受付を始めました。関連者取引の価格設定について、FTAと事前に合意しておく制度です。国境を越える取引についての一方的APAの開始時期は、2026年中に発表されるとされています。

Tip

APAの対象は、原則として1事業年度あたりの対象取引がAED 1億以上の場合です。申請は、対象とする最初の事業年度が始まる12か月以上前に行う必要があり、申請手数料はAED 30,000です。取引規模の大きいグループ会社間の取引がある場合は、移転価格調査のリスクを下げる手段として検討する価値があります。

6-4. DMTT(グローバル・ミニマム課税)はすでに適用中

UAEは、連結売上€7.5億以上の多国籍企業グループを対象に、2025年1月1日以降に開始する事業年度から国内ミニマム・トップアップ税(DMTT)を導入しています。UAEでの実効税率が15%に満たない場合、その差額がUAEで追加課税されます。QFZPの0%優遇を受けている子会社も対象になり得ます。DMTTの登録は法人税の登録とは別の手続きです。

Biz Easy Note

対象判定・登録期限・影響試算は、UAE DMTT(Pillar Two)対応支援で詳しく解説しています。

6-5. 電子インボイスの義務化(2027年〜)

法人税と並行して、企業間取引の電子インボイス(E-Invoicing)の義務化が進んでいます。年商AED 5,000万以上の企業は2027年1月1日から義務化され、それに先立つASP(認定サービスプロバイダ)の選任期限は2026年10月30日です。詳しくはUAE電子インボイス義務化 完全ガイドをご覧ください。

Note

経済実体規制(ESR)の報告義務は、閣議決定2024年第98号により、2022年12月31日より後に終了する事業年度から適用されなくなっています。

登録期限・申告スケジュール

UAE法人税の手続きには、登録・申告・納付それぞれに期限があります。期限を過ぎると罰則の対象になります。

手続き 期限 備考
法人税登録2024年3月1日以降に設立された法人は、原則として設立日から3か月以内(FTA決定2024年第3号)期限超過時:AED 10,000の罰則
法人税申告書の提出事業年度終了後9か月以内EmaraTaxで提出
法人税の納付事業年度終了後9か月以内申告期限と同じ
移転価格開示書類申告書とあわせて提出対象となる関連者取引がある場合
移転価格文書(マスターファイル・ローカルファイル)FTAの求めから30日以内に提出作成義務のある企業は、事前に整備しておく
Tip

UAE子会社の事業年度を日本の親会社と同じ3月決算にしている場合、UAEの申告・納付期限は12月31日です。12月決算の場合は翌年9月30日になります。いずれの場合も、監査済み財務諸表の確定に時間がかかるため、決算と監査のスケジュールを前倒しで組んでおくことが重要です。

罰則の詳細

UAE法人税の罰則は、違反の内容によって計算方法が異なります。主なものは次のとおりです。

違反内容 罰則
登録期限の超過AED 10,000(条件を満たせば減免措置の対象となる場合あり)
申告書の提出遅延最初の12か月は1か月ごとにAED 500、13か月目以降は1か月ごとにAED 1,000(閣議決定2023年第75号)
納付遅延2026年4月14日以降:未納税額に対し年14%を月ごとに計上(閣議決定2025年第129号)
誤った申告違反の内容に応じた罰則。自主修正(Voluntary Disclosure)により軽減される場合あり
帳簿・記録の保存義務違反違反の内容と回数に応じた罰則
Important

罰則の金額と減免措置は改正が続いています。適用にあたっては、FTAが公表している最新の規定を必ず確認してください。過去の申告に誤りが見つかった場合は、FTAから指摘を受ける前に自主修正を行うことで、罰則が軽くなる可能性があります。

移転価格と関連者取引

日本本社からのサービス提供、本社費の配賦、出向者の人件費、グループ内の貸付は、移転価格の観点で説明できる状態にしておく必要があります。

文書 作成が必要な企業
マスターファイル・ローカルファイル当該事業年度の収入がAED 2億以上の企業、または連結売上AED 31.5億以上の多国籍企業グループの構成会社(財務省決定2023年第97号)
移転価格開示書類一定の関連者取引がある企業が、法人税申告書とあわせて提出

UAE支店や駐在員事務所が恒久的施設(PE)に該当するかどうかも、課税関係を左右します。詳しくはUAE駐在員事務所とPE認定リスク|現地法人化の判断基準をご覧ください。

日系企業の実務対応5ステップ

UAE法人税の対応を確実にするため、日系企業が実行すべき5つのステップを示します。

  1. 1 登録状況と申告期限の確認:FTAへの登録が済んでいるか、登録内容が最新かを確認します。あわせて、自社の決算期から申告・納付期限(期末から9か月)を確定し、日本の決算スケジュールと別に管理します。
  2. 2 QFZP要件の毎期判定:フリーゾーン企業は、実体要件、所得の区分、デミニミス基準、監査済み財務諸表の作成を毎期確認します。要件を欠くと5年間9%になるため、取引の変化を早めに把握します。
  3. 3 Small Business Relief終了後の試算:特例を利用している企業は、2027年以降に終了する事業年度の納税額を試算し、延長の有無を確認しながら事務体制を整えます。
  4. 4 移転価格文書の整備とAPAの検討:本社との取引の価格設定を文書化します。対象取引の規模が大きい場合は、APAの申請も検討します。
  5. 5 DMTTと日本の税制への影響確認:連結売上€7.5億以上のグループは、DMTTの登録と影響試算を行います。あわせて、UAE子会社の租税負担割合によっては、日本の外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の検討が必要になります。

よくある質問

UAE法人税の税率はいくらですか?

課税所得のうちAED 375,000以下の部分は0%、超える部分は9%です。適格フリーゾーン法人(QFZP)の適格所得は0%、連結売上€7.5億以上の多国籍企業グループには、実効税率15%までのDMTTが適用されます。

フリーゾーン企業は法人税が免除されますか?

自動的には免除されません。QFZPの要件をすべて満たした場合に限り、適格所得が0%になります。非適格所得には9%が課され、要件を満たさなくなると、その事業年度と続く4事業年度は9%が適用されます。フリーゾーン企業も登録と申告が必要です。

UAE法人税の申告期限はいつですか?

申告と納付の期限は、いずれも事業年度終了後9か月以内です。12月決算の場合は翌年9月30日、3月決算の場合は同年12月31日が期限になります。

2026年のUAE法人税で何が変わりましたか?

2026年4月14日から、納付遅延の罰則が年14%(月ごとに計上)に改められました。また、FTAが事前確認制度(APA)のガイドを公表し、国内の一方的APAの申請受付が始まっています。Small Business Reliefは、現行規定では2026年12月31日以前に終了する事業年度までが対象です。

UAE法人税の登録期限はいつですか?

2024年3月1日以降に設立された法人は、原則として設立日から3か月以内に登録が必要です。期限を過ぎるとAED 10,000の罰則が課されます。

日系企業がUAE法人税で注意すべき点は?

登録状況の確認、QFZP要件の毎期判定、本社との取引に関する移転価格文書の整備、3月決算の場合の12月31日の申告期限の管理、連結売上€7.5億以上のグループではDMTTの対応が重要です。申告の代行についてはUAE法人税 申告代行・登録支援をご覧ください。

Summary

UAE法人税は、課税所得AED 375,000超の部分に9%という低い税率を維持しつつ、2026年は延滞罰則の改正、APAの開始、Small Business Reliefの期限到来と、実務への影響が大きい変更が続いています。フリーゾーン企業はQFZPの毎期判定が欠かせず、日系企業は申告期限の管理、移転価格文書の整備、DMTTへの対応を含む5つのステップを早めに実行することが求められます。

Sources 連邦政令法2022年第47号(法人税法)/閣議決定2022年第116号(課税所得の基準額)/財務省決定2023年第73号(Small Business Relief)/財務省決定2023年第97号(移転価格文書)/閣議決定2023年第75号・2025年第129号(行政罰)/閣議決定2024年第98号(ESR)/FTA決定2024年第3号(登録期限)/FTA「Advance Pricing Agreements Corporate Tax Guide」(2025年12月)
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