Office #3104 – 31st Floor, 1Lake Plaza, Cluster T, JLT(Jumairah Lake Towers), Dubai, United Arab Emirates

9:00- 17:00 Monday to Friday

+971-55-177-5734

Insights — QFZP Guide

QFZP(適格フリーゾーン法人)完全ガイド|DMCC企業の法人税0%の実態と注意点

「フリーゾーンは法人税0%」という言葉の実態を、QFZP(適格フリーゾーン法人)制度を軸に正確に解説します。要件、適格所得の範囲、デミニミス基準、DMTTとの関係まで、DMCC企業の事例をもとに整理しました。

Region
UAE(DMCCほか)
Topic
法人税・QFZP
Reading Time
10 min
Updated
Oct 24, 2026
Summary — この記事の結論

フリーゾーンの「法人税0%」は、QFZP要件をすべて満たした企業の適格所得にだけ適用されます。適格所得以外の所得には9%が課され、デミニミス基準を超えると5課税期間にわたってQFZPの地位を失います。さらに連結売上EUR 7.5億以上のグループにはDMTT(15%)が別途かかり得ます。自社の取引がどの区分に入るかを設立前に整理することが、税務リスクを防ぐ鍵です。

「UAEのフリーゾーンは法人税0%」——この言葉だけが独り歩きし、実態を正確に理解しないまま進出を検討するケースを少なからず見かけます。特に大手企業・上場企業にとっては、この点の誤解が後々の税務リスクにつながりかねません。この記事では、フリーゾーン企業の税制の実態を、QFZP(Qualifying Free Zone Person)という制度を軸に、DMCC企業の事例をもとに解説します。

本記事は「海外展開を目指す企業のためのDMCC完全ガイド」の関連記事です。UAE法人税全体の仕組みは「UAE法人税の解説記事」をご覧ください。

前提:UAEにも法人税は存在する

UAEは連邦法令第47号(2022年)により法人税を導入し、2023年6月1日以降に開始する事業年度から適用されています。税率は、課税所得のうちAED 375,000以下の部分が0%、超える部分が9%です。

DMCCを含むフリーゾーン企業は、たとえ実効税率が0%であっても、法人税の登録義務は全社にあります。登録を怠るとAED 10,000の罰金が科されます。申告・納付は事業年度末から9か月以内です。

QFZP(適格フリーゾーン法人)とは何か:6つの要件

QFZPの要件を満たせば、適格所得に対して0%の法人税が適用されます。適格所得以外の課税所得には9%が課されます。QFZPと認められるには、次の要件をすべて満たす必要があります。

要件内容
1. 十分な実体フリーゾーン内に、事業に見合った資産・従業員・支出があり、中核的な所得創出活動をフリーゾーン内で行っていること
2. 適格所得の獲得適格活動から所得を得ていること
3. デミニミス基準適格所得以外の収入が、AED 500万または総収入の5%のいずれか低い方以内であること
4. 通常課税を非選択9%の通常課税を自ら選択していないこと
5. 移転価格関連者取引を独立企業間価格で行い、文書化の要件を守っていること
6. 監査済み財務諸表監査を受けた財務諸表を作成・保存していること
Important — 5期ルール

デミニミス基準を超えるなど要件を1つでも満たさなくなると、その課税期間とその後4課税期間(合計5期)、QFZPの地位を失い、通常の法人税率(課税所得のうちAED 375,000を超える部分に9%)が適用されます。一時的な非適格収入の増加が、長期にわたる税制優遇の喪失につながる点に注意が必要です。

「適格所得」の範囲には注意が必要

適格所得になるのは、主に次の取引から得た所得です。

  • 他のフリーゾーン企業との取引(適格活動・対象外活動に該当しないもの)
  • フリーゾーン企業以外との取引のうち、適格活動に該当するもの(適格商品のトレーディング、物流サービス、グループ内のヘッドクオーター・トレジャリー業務など)
  • 指定ゾーン内・指定ゾーンからの物品の流通(条件あり)

DMCC企業のポイント:適格商品のトレーディング

DMCCに多いコモディティ取引は、適格活動に該当し得ます。ただし無条件ではなく、公認の商品取引所、または公認の価格報告機関(Recognised Price Reporting Agency)で価格が公表されている商品であることが条件です。2025年の改正により、対象は原形での物理的な取引に限らず、リスクヘッジのためのデリバティブ取引などにも広がりましたが、すべての取引が自動的に適格になるわけではありません。

また、本土(メインランド)顧客への販売・サービス提供は原則として非適格所得(9%課税)として扱われます。DMCC企業がUAE国内の本土企業と取引する機会が多い場合、この点を踏まえた事業設計が必要です。

Tip — 最新の規定

2025年8月28日発行の大臣決定第229号(旧第265号を置き換え、2023年6月1日以降開始の課税期間に遡って適用)により、適格活動のリストが拡大されています。あわせて大臣決定第230号により、商品の価格根拠となる公認の価格報告機関が定められました。制度は継続的に更新されているため、最新の規定を都度確認することが重要です。

フリーゾーン別:QFZPで特に確認したい論点

QFZPの要件はどのフリーゾーンでも共通ですが、フリーゾーンごとに多い事業モデルが異なるため、確認すべき論点も変わります。

DMCC
  • コモディティ取引が適格商品の条件を満たすか
  • 本土顧客へのサービス比率
  • DMCC会社設立
DAFZ(指定ゾーン)
  • DAFZ経由で輸入した物品を本土のディストリビューターに販売する場合の特例
  • DAFZ企業のQFZP要件
他のフリーゾーン
Note — 指定ゾーン

指定ゾーン内または指定ゾーンからの物品の流通で、物品がその指定ゾーンを通じてUAEに輸入され、顧客がそれを再販・加工する場合は、顧客が本土企業であっても適格活動となり得ます。DAFZなど指定ゾーンの企業にとって重要な論点です。詳しくはDAFZ企業のQFZP要件をご覧ください。

大手企業が特に注意すべき「DMTT」

QFZPとは別に、DMTT(Domestic Minimum Top-up Tax/国内ミニマム課税)という制度があります。

  • 適用対象:直前4事業年度のうち2事業年度以上で、グループ全体の連結売上がEUR 7.5億以上となる多国籍企業グループ
  • 税率:15%
  • 適用開始:2025年1月1日以降に開始する事業年度から

これは経済協力開発機構(OECD)が主導するグローバル・ミニマム課税(いわゆる「Pillar Two」)の枠組みに沿った制度です。UAE国内で0%や9%の税率が適用されていても、グループ全体の規模がこの基準に該当する企業は、UAEでの実効税率が15%に満たない場合、その差額を上乗せ税として納める必要があります。

Important

東証プライム上場級の大企業がフリーゾーン進出を検討する場合、DMTTの影響を必ず個別に精査する必要があります。「フリーゾーンだから法人税がかからない」という単純な理解のまま進出計画を立てると、実際の税負担を見誤るリスクがあります。登録・申告の実務はUAE DMTT対応支援をご覧ください。

まとめ:フリーゾーン企業の税率の全体像

区分対象税率
QFZP適格所得QFZP要件を満たす企業の適格所得0%
QFZP非適格所得本土向けサービス等の非適格所得9%
通常の法人税QFZP要件を満たさない場合の課税所得AED 375,000以下0%/超過部分9%
DMTT連結売上EUR 7.5億以上の多国籍企業グループ実効税率15%まで上乗せ

「0%」という言葉の魅力だけで進出を決めるのではなく、自社の事業構造がどの区分に該当するのかを正確に把握した上で、実体要件の整備や移転価格文書の準備を進めることが、長期的に安定した税務ポジションを維持する鍵になります。

QFZPに関するよくあるご質問

QFZPとは何ですか?
QFZP(Qualifying Free Zone Person:適格フリーゾーン法人)は、UAE法人税法第18条に定める要件を満たしたフリーゾーン企業です。QFZPになると、適格所得に0%、それ以外の課税所得に9%の法人税が適用されます。
フリーゾーンに会社を作れば、自動的にQFZPになりますか?
なりません。十分な実体、適格所得の獲得、デミニミス基準の充足、通常課税を選択していないこと、移転価格ルールの遵守、監査済み財務諸表の作成といった要件をすべて満たす必要があります。
デミニミス基準とは何ですか?
適格所得以外の収入が、AED 500万または総収入の5%のいずれか低い方以内であることを求める基準です。超えるとQFZPの地位を失い、その課税期間とその後4課税期間、通常の法人税率(課税所得のうちAED 375,000を超える部分に9%)が適用されます。
QFZPでも法人税の登録・申告は必要ですか?
必要です。すべてのフリーゾーン企業に法人税の登録義務があり、事業年度末から9か月以内に申告します。登録が遅れるとAED 10,000の罰金が科されます。QFZPは小規模事業者救済(SBR)を使えません。登録・申告の代行はUAE法人税の登録・申告代行でご案内しています。
QFZPであればDMTT(15%)は関係ありませんか?
関係します。直前4事業年度のうち2事業年度以上で連結売上がEUR 7.5億以上の多国籍企業グループに属する場合、QFZPとして0%であっても、2025年1月1日以降に開始する事業年度からDMTT(15%)の対象となり得ます。

Biz Easyのサポートについて

当社Biz Easyは、単なる法人設立代行にとどまらず、戦略立案から会社設立、ビザ・銀行口座開設、その後の会計・税務・人事オペレーションまで「実行しきる」ことを強みとするコンサルティングファームです。Big4未満のコストで、Big4レベルの知見を提供します。

2021年の設立以来、中東・アフリカへの進出を目指す日系企業200社以上を支援してきました。会計・税務の専門チームを擁し、QFZP要件の整備からDMTTの影響分析まで、大手企業の複雑な税務論点にも対応しています。

参照した一次情報

  • 連邦法令第47号(2022年)法人税法 第18条(適格フリーゾーンパーソン)
  • 内閣決定第100号(2023年)適格所得の判定
  • 大臣決定第229号(2025年)適格活動・対象外活動/大臣決定第230号(2025年)公認の価格報告機関
  • 大臣決定第73号(2023年)小規模事業者救済
  • 内閣決定第75号(2023年)法人税関連の行政罰
  • UAE連邦税務庁(FTA)公表資料・フリーゾーン法人向けガイド
Disclaimer 本記事は、公開情報に基づく一般的な情報提供を目的として作成されており、法務・税務・会計・財務に関する専門的なアドバイスを構成するものではありません。情報の正確性・完全性について万全を期しておりますが、内容は予告なく変更される場合があります。具体的なご判断・対応にあたっては、必ず専門家にご相談ください。具体的な税務判断については、当社の会計・税務専門チームまでご相談ください。
© 2026 Biz Easy FZCO. All rights reserved.
Contact Biz Easy
QFZP要件の確認・税務体制の整備をご検討ですか?
Biz Easy では以下を一貫して支援しています
会計・税務 QFZP対応 DMTT分析
無料相談はこちら →

中東・アフリカの専門知見で
あなたの事業をサポートします

お問い合わせ
FREE CONSULTATION 無料相談を予約する
当サイトでは、閲覧体験の向上のためにCookieを使用しています。個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご確認ください。