DMTT(グローバル最低税)はDMCC進出企業にどう影響するか|大手企業が見落としがちな盲点
「現地法人が小さいから関係ない」は誤解かもしれません。DMTTの判定基準はグループ全体の連結売上です。
「自社のDMCC現地法人は規模が小さいから、グローバル最低税は関係ない」——この考え方には、重要な誤解が含まれている可能性があります。この記事では、DMTT(Domestic Minimum Top-up Tax)の仕組みと、大手企業が見落としがちなポイントを解説します。
本記事は「DMCCのQFZP完全ガイド」の関連記事です。QFZP全体の枠組みについては、あわせてご参照ください。
DMTTとは何か
DMTTは、OECDが主導するグローバル・ミニマム課税(いわゆる「Pillar Two」)の枠組みに沿って、UAEが2025年1月1日から導入した制度です。
- 適用対象:直前4会計年度のうち2年度以上で、
全世界連結売上がEUR7.5億以上の多国籍企業グループ - 税率:15%
- UAE国内でQFZPによる0%や通常の9%が適用されていても、この基準に該当するグループは、UAEでの実効税率が15%に満たない場合、その差額を上乗せ税(トップアップ税)として納める必要があります
見落としがちな盲点:判定基準は「グループ全体」の売上
ここが最も誤解されやすいポイントです。DMTTの適用可否を決めるのは、DMCC現地法人単体の売上ではなく、その企業が属する多国籍企業グループ全体の、全世界連結売上です。
DMCCに設立した現地法人の規模がどれだけ小さくても、その親会社(グループ全体)の全世界連結売上がEUR7.5億を超えていれば、DMTTの対象になり得ます。東証プライム上場級の大企業、特に総合商社・大手製造業・エネルギー関連企業など、グループ全体の売上規模が大きい企業は、現地法人の規模にかかわらず、必ず個別に確認する必要があります。
QFZPとDMTTの関係を整理する
| 制度 | 判定基準 | 税率 |
|---|---|---|
| QFZP(適格所得) | DMCC現地法人が実体・監査・移転価格等の要件を満たすか | 0% |
| QFZP(非適格所得) | 上記要件を満たさない所得 | 9% |
| DMTT | 親会社を含むグループ全体の全世界連結売上がEUR7.5億超か | 15% |
QFZPは「現地法人の活動内容・体制」を見る制度であるのに対し、DMTTは「グループ全体の規模」を見る制度です。この2つは判定基準がまったく異なるため、QFZPで0%を達成していることと、DMTTが適用されないことは、まったく別の話である点に注意が必要です。
大手企業が今すべきこと
- 1自社グループの全世界連結売上がEUR7.5億の基準に該当するかどうかを、経理・財務部門と共有し確認する
- 2該当する場合、DMCC現地法人単体の税務メリット(QFZP 0%等)だけで進出判断をせず、グループ全体での実効税率への影響を試算する
- 3移転価格文書・監査済財務諸表の整備状況を、DMTT対応の観点からも見直す
DMTTは比較的新しい制度であり、UAE国内の運用も継続的に更新されています。個別の適用判断は、必ず専門家による最新情報の確認を伴う形で進めることを推奨します。
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DMTTの適用可否を決めるのは、DMCC現地法人単体の売上ではなく、グループ全体の全世界連結売上です。連結売上EUR7.5億超の企業グループは、現地法人の規模にかかわらず、DMTTの影響を個別に確認する必要があります。QFZPとDMTTは判定基準が異なる別の制度である点も、正確に理解しておくべきポイントです。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスに代わるものではありません。具体的な税務判断については、当社の会計・税務専門チームまでご相談ください。 © 2026 Biz Easy FZCO. All rights reserved.
