Office #3104 – 31st Floor, 1Lake Plaza, Cluster T, JLT(Jumairah Lake Towers), Dubai, United Arab Emirates

9:00- 17:00 Monday to Friday

+971-55-177-5734

Insights

中東統括拠点としてのDMCCホールディングカンパニー活用法

中東・アフリカ地域に複数の事業展開を持つ大手企業にとって、地域統括拠点の選定は重要な経営判断です。DMCC専用のSPV/ホールディングカンパニーライセンス、デュアルライセンス、リドミサイル、税務論点まで整理します。

Region
UAE(DMCC)
Topic
地域統括拠点
Reading Time
9 min
Updated
Sep 2026

中東・アフリカ地域に複数の事業展開を持つ、あるいは今後展開を計画している大手企業にとって、「どこに地域統括拠点を置くか」は重要な経営判断です。この記事では、DMCC(Dubai Multi Commodities Centre)をホールディングカンパニー(持株会社)として活用する視点を解説します。

本記事は「海外展開を目指す企業のためのDMCC完全ガイド」の関連記事です。

DMCC専用の「SPV/ホールディングカンパニー」ライセンス

まず押さえておくべき重要な事実として、DMCCには通常の事業会社(FZ-LLC等)とは別に、資産保有・グループ管理に特化したSPV(Special Purpose Vehicle/特別目的事業体)およびホールディングカンパニー専用のライセンスカテゴリーが用意されています。

  • 日常的な事業活動を行わないことを前提としているため、通常のDMCC法人より簡易な手続き・低コストで設立できます
  • 伝統的なオフィス保有の負担が軽減される設計になっており、資産保有や投資管理、グループ内の持株機能に特化した使い方に向いています
  • ホールディングカンパニーは連結グループ財務諸表の作成が義務付けられる一方、事業を行わない休眠会社(Dormant company)には、一定の条件下で個別監査が免除される特例もあります

「地域統括拠点として何らかのDMCC法人を設立する」という発想だけでなく、最初からこの専用ライセンスを選択肢に入れることで、目的に応じた最適な設計がしやすくなります。

なぜDMCCが地域統括拠点として検討されるのか

  • Tier 1フリーゾーンとしての信用力:DMCCは銀行からTier 1フリーゾーンとして評価される傾向があり、口座開設審査で有利に働くケースがあります。地域統括会社としてグループ内の資金管理・決済機能を担う場合、この信用力は実務上の大きな差になります
  • 100%外国資本での所有:現地スポンサーを必要とせず、親会社が完全に子会社をコントロールできる構造を維持できます
  • JLTでのフリーホールド所有:ジュメイラ・レイクス・タワーズ(JLT)では不動産のフリーホールド(永久所有権)取得が可能で、長期的な地域拠点としての資産保有という選択肢もあります
  • 業種別エコシステムへの近接:グループ内に複数の事業セグメントを持つ企業にとって、DMCCの多様なエコシステム(コモディティ、テック、金融サービス等)に同時にアクセスできる立地は、事業ポートフォリオの広い企業ほど活用価値が高くなります

デュアルライセンス制度の活用

DMCCは経済開発局(DED、現DET)との提携により、DMCC会員企業が本土(メインランド)でもDETライセンスの下で活動できる「デュアルライセンス」制度を有しています。2025年3月3日のExecutive Council Resolution No. 11 of 2025(ドバイ政府の法定文書、Dubai Legislation Portal掲載)により、この仕組みは一般化・規制化されました。

これにより、DMCCを拠点としながら、UAE本土の顧客・市場にもアクセスするというハイブリッドな事業運営が可能になります。

Important

以下の制約がある点には注意が必要です。本土支店として登記される形になる/労働省(MOL)カードは発行されない/ビザはフリーゾーン帰属のままとなる。地域統括拠点としての機能と、本土市場への直接アクセスを両立させたい企業にとって、この制度の活用余地は大きいものの、制約条件を踏まえた設計が求められます。

リドミサイル(Continuation)という選択肢

新規設立だけでなく、既に他法域で設立済みの企業を、DMCCへそのまま移管する「リドミサイル(Continuation)」という制度もあります。この制度はDMCC Company Regulations 2024(DMCC公式規則、SECTION 4「TRANSFERRING TO AND FROM THE DMCC FREE ZONE」)に定められています。

手続きは次の2段階です。

  1. 1DMCCから継続証明書(Certificate of Continuation)を取得
  2. 2その後90日以内に、移転元法域から抹消証明書(Certificate of Discontinuation)を取得

移転には、個人所有企業では75%以上の議決権、法人所有企業では取締役会・株主決議による75%以上の承認が必要です。法人格・資産・契約関係・事業実績を維持したまま籍を移せるため、ゼロから再設立するより事業への影響を抑えられます。

税務上の留意点

ホールディングカンパニーとしての活用を検討する際は、QFZP(適格フリーゾーン法人)の要件と、DMTT(グローバル最低税)の両方を踏まえた設計が不可欠です。

Note

特に、直前4会計年度のうち2年度以上で全世界連結売上がEUR7.5億以上の企業グループは、DMTTの影響を必ず個別に確認する必要があります。

よくあるご質問

Q.DMCCの持株会社に税制優遇はありますか?
A.QFZP(適格フリーゾーン法人)の要件を満たせば、適格所得に0%の法人税が適用されます。ただし、直前4会計年度のうち2年度以上でグループ全体の全世界連結売上がEUR7.5億以上となる場合はDMTT(グローバル最低税、15%)の対象になる可能性があるため、両方を合わせて確認する必要があります。
Q.デュアルライセンスで本土(メインランド)に支店を出せますか?
A.可能です。Executive Council Resolution No. 11 of 2025により、DET(旧DED)のライセンス・許可を取得すれば、DMCC法人のまま本土での事業活動が行えます。ただし別会計管理の義務や、MOL(労働省)カードが発行されないといった制約がある点に注意が必要です。
Q.既存の海外子会社をDMCCに移管(リドミサイル)できますか?
A.移転元法域の法律が継続移転を認めていれば可能です。DMCCから継続証明書を取得後、90日以内に移転元法域から抹消証明書を取得する2段階の手続きが必要です。個人所有企業は75%以上の議決権、法人所有企業は取締役会・株主決議での75%以上の承認が前提となります。
Q.リドミサイルには、どのくらいの期間がかかりますか?
A.通常の新規ライセンス発行自体は3〜10営業日ですが、リドミサイルの場合は移転元法域側の手続きに左右されるため、案件の複雑さによって数ヶ月単位の期間を要することがあります。
Q.DMCCには持株会社専用のライセンスカテゴリーがありますか?
A.あります。DMCCは通常の事業会社(FZ-LLC等)とは別に、資産保有・グループ管理に特化した「SPV(特別目的事業体)」および「ホールディングカンパニー」という専用ライセンスを用意しています。これらは日常的な事業活動を行わない前提のため、通常のDMCC法人より簡易な手続きで設立でき、伝統的なオフィス保有の負担も軽減される設計になっています。
Q.DMCCのホールディングカンパニーは毎年の会計監査が必要ですか?
A.必要です。ホールディングカンパニーは連結グループ財務諸表の作成が義務付けられています。一方、休眠会社(Dormant company)は、株主の10%以上から個別に要求がない限り、個別の監査・財務諸表作成が免除される特例があります。
Q.DMCCのホールディングカンパニー設立の最低資本金はいくらですか?
A.標準的なDMCC法人(FZ-LLC)では、最低資本金の一律規定は緩和されており、事業内容に応じて設立者側が金額を決定できる仕組みになっています(レジストラが随時最低額を指定する権限を持ちます)。ただしSPV/ホールディングカンパニーライセンスには別の資本要件が適用される場合があるため、個別のご確認をおすすめします。
Q.ホールディング目的ではなく、通常の事業会社としてDMCCに新規設立する場合、費用や期間はどれくらいですか?
A.ライセンス発行自体は3〜10営業日、ビザ・銀行口座開設まで含めても2〜4週間程度が目安です。初年度の設立コストはフレキシデスク利用等で抑えた場合、おおむねAED 30,000〜50,000程度が目安となります(詳細は「DMCC完全ガイド」もご参照ください)。

こんな企業に向いている

  • 中東・アフリカ地域に複数の現地法人・拠点を持つ、または計画している企業
  • グループ内の資金管理・決済機能を一元化したい企業
  • 事業ポートフォリオが複数のエコシステム(コモディティ、テック、金融等)にまたがる企業
Summary

DMCCは、通常の事業会社としての活用に加え、SPV/ホールディングカンパニー専用ライセンス、デュアルライセンス、リドミサイル(Continuation)といった多様な制度を備えており、中東統括拠点としての設計の自由度が高いフリーゾーンです。一方で、QFZP・DMTTといった税務論点は個別の精査が不可欠であり、目的(新規設立か、既存法人の移管か、資産保有目的か)に応じて最適な制度を選択することが重要です。

Disclaimer 本記事は、公開情報に基づく一般的な情報提供を目的として作成されており、法務・税務・会計・財務に関する専門的なアドバイスを構成するものではありません。情報の正確性・完全性について万全を期しておりますが、内容は予告なく変更される場合があります。具体的なご判断・対応にあたっては、必ず専門家にご相談ください。 © 2026 Biz Easy FZCO. All rights reserved.
Contact Biz Easy
DMCCでの地域統括拠点設立をご検討ですか?
Biz Easy では以下を一貫して支援しています
会社設立・ストラクチャリング デュアルライセンス 法務・税務・会計
無料相談はこちら →

中東・アフリカの専門知見で
あなたの事業をサポートします

お問い合わせ
FREE CONSULTATION 無料相談を予約する
当サイトでは、閲覧体験の向上のためにCookieを使用しています。個人情報の取り扱いについては、プライバシーポリシーをご確認ください。