UAE法人税と役員報酬|現地社長の給与設定ポイント
UAEの法人税導入により、現地社長から「UAEで設定する適切な給与額は?」「日本とUAEで受け取る金額をどう考えるべきか?」といったお問い合わせを多くいただいています。本記事では、UAE法人税制度のもとで何が可能かと、適切な役員報酬制度の構築方法を解説します。
UAEの法人税について
UAEでは法人税が導入されており、その課税所得に応じて以下の税率が適用されます。
| 課税所得 | 税率 |
|---|---|
| 年間375,000AED以下 | 0% |
| 年間375,000AEDを超える部分 | 9% |
課税所得とは益金から損金を差し引いた金額であり、この課税所得から375,000AEDを差し引いた額の9%が法人税の課税額となります。
課税所得400,000AEDの場合:
①超過分の計算:400,000AED − 375,000AED = 25,000AED
②法人税課税額:25,000AED × 9% = 2,250AED
UAEの個人所得税について
2026年9月現在、UAEに個人所得税は導入されていません。そのため、個人で受け取る給与や株式配当等に関して税金は発生しません。
そういったこともあり、「個人所得税が無いことを最大限に活用し、法人で税金発生を避けるために、給与額を増やし課税所得を圧縮させることはできるか」というお問い合わせが増えています。
UAE法人税の規制について
UAE法人税の規制に関して、以下の点が重要です。
経営陣への報酬の控除
経営陣へ支払われる報酬は、一般的に法人税務上の控除可能な経費として認められます。ただし、取締役やオーナー、またはそれらに関する関係者に対して支払われる報酬は、市場レートに基づいたものである必要があります。つまり、市場レートを超える場合、役員報酬は控除されず、課税所得の圧縮はできません。ただし、市場レートの具体的な数値基準は示されていません。
229. 経営陣への報酬は法人税法上の控除可能な経費となりますか?
企業の経営陣に支払われる報酬は、一般的に控除可能な経費となります。控除に影響を与えるいくつかの特定のケースがあります。報酬が会社の取締役またはオーナー、または取締役に関連し関係者と見なされる誰かに支払われる場合、その報酬は関連する役割と提供されるサービスに対応する市場レートを反映するべきです。市場レートを超える金額は控除されません。
市場レートの具体的な数値基準が示されていない以上、独立企業間価格(移転価格)の考え方に沿って、同規模・同業種の報酬水準や職責に基づく算定根拠を書面で残しておくことが、税務調査への備えとして重要です。
役員報酬制度の設計方法
UAEで税務調査対策として適切な役員報酬制度を設計することは、個人事業主や経営者にとって非常に重要です。検討事項としては、内的要因、外的要因、支払方法などがあります。これらを検討した後、書面化し、株主総会を開催し決議を取得する必要があります。
- 支払方法の検討:定期報酬(役位別の妥当水準、改定基準)
- 役員賞与(短期インセンティブか長期インセンティブか)、業績連動報酬
- 退職慰労金、株式報酬制度を導入するか
UAE法人税(9%、375,000AED超過部分)のもとでも、役員報酬は市場レートに基づく限り損金算入が可能です。ただし市場レートの数値基準は示されていないため、独立企業間価格の考え方で算定根拠を書面化し、株主総会決議を取得しておくことが税務調査への備えとして重要です。内的要因・外的要因・支払方法を体系的に検討し、制度として設計することを推奨します。
