UAE DMTT(Pillar Two)対応支援 ― 対象判定から登録・影響評価・申告まで
連結売上€7.5億以上のグループに属するUAE法人には、2025年1月1日以降に開始する事業年度から、15%の最低実効税率を確保する国内ミニマムトップアップ税(DMTT)が適用されます。法人税の登録とは別に、DMTTの登録が必要です。Biz Easyは、グループの対象判定、FTAへの登録、GloBE実効税率の影響評価、情報申告の経路設計までを、日本の本社税務部門と連携しながら一貫して支援します。
2026年4月30日より前に終了した事業年度が最初の対象年度となる法人は、2026年11月30日までにDMTTの登録申請が必要です(FTA決定第12号/2026年 第2条第2項)。3月決算の日系企業の場合、2025年4月〜2026年3月期が最初の対象年度に当たり、この期限が適用されます。
「UAEは低税率」という前提は、Pillar Twoで変わりました
UAEは2023年6月に法人税(標準税率9%)を導入し、2025年1月1日以降に開始する事業年度からは、OECD BEPS 2.0(Pillar Two)に基づく国内ミニマムトップアップ税(DMTT)を適用しています。UAE法人の実効税率が15%を下回る場合、その差額がUAE国内で課税されます。日本を含む多くの国がすでに所得合算ルール(IIR)を導入しているため、UAEで生じた低税率の結果がUAEのDMTTで決着するのか、日本の親会社側でトップアップ課税されるのかは、グループ全体の税負担とガバナンスに直結する論点です。
登録・通知・申告の義務を整理する
FTAが2026年8月に公表した「Top-up Tax Guide|Scope and Registration(TTGREG1)」に基づき、登録漏れを防ぐための確認項目をまとめました。
3-1 誰が登録するか
- UAEに所在する構成事業体(子会社・支店・PE・ジョイントベンチャー)は、法人税の登録とは別にDMTTの登録が必要です。法人税のタックスグループ登録はDMTTには引き継がれません
- 外国法人のUAE支店(PE)も登録対象です
- トップアップ税がゼロと見込まれる法人も登録が必要です。デミニミス除外、経過的CbCRセーフハーバー、簡易計算セーフハーバー、国際活動の初期段階の軽減措置が適用される場合でも、登録義務があります
- 登録が不要なのは、除外事業体(政府機関、国際機関、非営利組織、年金基金等)、UAE所在の投資事業体、無国籍PEに限られます
3-2 対象判定(連結売上基準)
- 最終親会社の連結財務諸表上の年間売上が、判定対象年度の直前4事業年度のうち2年度で€7.5億以上であれば対象です。判定対象年度自体の売上は含めません
- 12か月に満たない事業年度は基準額を按分します(9か月なら€5.625億)
- ユーロ以外の通貨で作成された連結財務諸表は、当該事業年度開始前の12月の日次参照レート(欧州中央銀行等)の平均でユーロ換算します
- 買収によりグループに加わったUAE法人は、加わった事業年度末から7か月以内に登録が必要です
3-3 登録の方法と期限
| 項目 | 内容 | 根拠(TTGREG1) |
|---|---|---|
| 申請先 | EmaraTaxポータル。既にFTAに登録がある法人は同じ「Taxable Person」から申請(TINは共通)。未登録の法人は先にTINを作成 | 第9.1節 |
| 代表登録(DDFE) | 国内指定申告事業体(DDFE)を指定すれば、DDFEが国内グループ全体の登録・申告・納税を代表して行う。各法人がEmaraTax上で承認するか、署名済み委任状をアップロードして指定する | 第8.1節・第9.3節 |
| 必要書類 | ①最終親会社(UAE外)の名称とTINを証する書類 ②指定申告事業体(UAE外、該当する場合)の名称とTINを証する書類 ③MNEグループの組織図 | 第9.3節 |
| 税務代理人 | DMTTの税務代理人は、法人税の税務代理人としてFTAに登録されている者に限る | 第9.4節 |
| 期限 | 事業年度末が2026年4月30日より前の法人:2026年11月30日。それ以外:最初の対象事業年度末から7か月以内 | 第8.4節(FTA決定12/2026 第2条) |
| 未登録の場合 | FTAは保有情報に基づき職権で登録できる。登録の効力は本来の登録義務発生日に遡る | 第8.4節 |
3-4 情報申告(Pillar Two Information Return)
- 登録時に、Pillar Two情報申告(GIR)を提出する主体をFTAに届け出ます
- 財務省決定第133号/2026年により、提出方法は4つから選べます:①UAEの各構成事業体が個別に提出 ②UAE内で指定した1法人(Designated Local Entity)が一括提出 ③最終親会社が、UAEと適格当局間協定を結ぶ国で提出 ④指定申告事業体が同様の国で提出。②〜④の場合、UAE各法人の個別提出義務は免除されます
- Designated Local Entity(情報申告のみ)とDDFE(登録・申告・納税)は役割が異なり、同じ法人が兼ねることも、別の法人に分けることもできます
本ページでは制度の概要のみを記載しています。御社の決算期・グループ構成に応じた具体的な期限と手順は、お問い合わせください。
出典:FTA Top-up Tax Guide|Scope and Registration(TTGREG1、2026年8月)、閣議決定第142号/2024年、FTA決定第12号/2026年、財務省決定第133号/2026年。本ページの内容は2026年10月13日時点。
4つの支援領域。必要な範囲だけでもご依頼いただけます
対象判定と登録だけ、影響評価だけ、といった部分的なご依頼にも対応します。
対象判定・登録支援
連結売上基準(直前4年度のうち2年度で€7.5億以上、短期事業年度の按分、ユーロ換算)の判定、除外事業体・投資事業体の確認、UAE支店(PE)を含む国内グループ構成の整理、DDFE(代表登録法人)の選定と委任状の取得、必要書類(最終親会社のTIN証憑・グループ組織図等)の準備、EmaraTaxでの登録申請、FTAからの追加照会への対応。2026年11月30日の期限に向けて、申請完了まで代行します。
DMTT影響アセスメント(Pillar Two)
約4週間で、グループの対象判定、UAEで適用される制度(QFZP・非課税所得等)の確認、UAE子会社のGloBE実効税率の試算、リスク評価と対応方針をまとめた報告書(英語・10ページ程度)を納品します。会計(IFRS)と法人税の差異、繰延税金、グループ内取引の調整を踏まえ、実効税率が15%を下回る可能性をHigh/Medium/Lowで評価します。本社・経営層への説明資料としてそのまま使える形にします。
情報申告・納税申告対応
Pillar Two情報申告(GIR)とトップアップ税申告の対応、FTAとのやり取り。本社のPillar Two申告(日本のIIR対応)との整合を取り、重複や漏れを防ぎます。
継続コンプライアンス・制度変更対応
対象外通知・対象復帰通知の管理、登録抹消、FTAガイダンスやOECD運用指針の更新に応じた対応方針の見直し。法人税申告・QFZP判定・移転価格文書化と一体で運用します。
進め方
初回相談・スコープ確認(無料)
グループ構成、連結売上、UAE法人の事業内容と課税区分をヒアリングし、DMTTの対象可能性と必要な手続きを整理します。
対象判定とDDFE選定
連結財務諸表と組織図に基づき対象判定を文書化し、代表登録法人を決めます。
FTAへの登録申請
EmaraTax上の登録申請を代行し、FTAからの照会に対応します。
影響アセスメント(任意)
GloBE実効税率の試算と対応方針の報告書を納品します。
申告と継続運用
情報申告・納税申告、年次の対象判定、制度変更への対応を継続して支援します。
Biz Easyが選ばれる理由
UAE税務と日本の税務ガバナンスの両方を理解
日本人公認会計士を含むチームが、UAEのDMTTと日本のIIR(所得合算ルール)の関係を踏まえて対応方針を組み立てます。
日系企業向けの実績
日系企業のUAE法人に対してDMTT影響アセスメントを実施した実績があります。本社への説明資料の作り方を含めて支援します。
法人税・QFZP・移転価格と一体で運用
DMTTは単独では完結しません。法人税申告、QFZP判定、移転価格文書化を同じチームで扱います。
制度変更の追跡
FTAの決定・ガイドの更新を継続的に確認し、クライアントに先回りして共有します。
よくあるご質問
当社はDMTTの対象になりますか。
最終親会社の連結財務諸表上の売上が、対象年度の直前4事業年度のうち2年度で€7.5億以上であれば、UAEにある子会社・支店・PEは対象になります。対象年度は2025年1月1日以降に開始する事業年度です。判定には為替換算や除外事業体の扱いが関わるため、初回相談で確認します。
法人税の登録はすでに済んでいます。別途DMTTの登録が必要ですか。
必要です。DMTTの登録は法人税の登録とは別の手続きで、FTA決定第12号/2026年に基づき申請します。法人税のタックスグループ登録もDMTTには引き継がれません。
3月決算の日本企業です。登録期限はいつですか。
最初の対象年度(2025年4月〜2026年3月期)の年度末が2026年4月30日より前のため、期限は2026年11月30日です。原則の「年度末から7か月」(10月31日)ではなく、FTA決定第12号/2026年第2条第2項の経過措置が適用されます。
UAE法人が複数あります。それぞれ登録が必要ですか。
各法人が個別に登録するか、国内指定申告事業体(DDFE)を指定して代表登録するかを選べます。DDFEを指定する場合、各法人がEmaraTax上で承認するか、署名済みの委任状が必要です。登録後は各法人にPillar Two Top-up Tax用のTRNが発行され、DDFEにはグループ用のTRNも発行されます。
支店(PE)しかありません。登録は必要ですか。
必要です。外国法人のUAE支店(PE)も、対象グループの構成事業体として登録義務があります。
セーフハーバーでトップアップ税がゼロになる見込みです。それでも登録は必要ですか。
必要です。デミニミス除外や経過的CbCRセーフハーバー等でトップアップ税がゼロと見込まれる場合も、課税規定の対象であることに変わりはなく、FTAガイドは登録を求めています。
QFZPとして0%で課税されているフリーゾーン法人は、DMTTで15%課税されるのですか。
QFZPの0%優遇はDMTTを免除するものではありません。UAE国内の実効税率が15%を下回れば、差額がトップアップ税として課されます。ただし、実質ベースの所得除外(SBIE)やデミニミス除外などの調整があるため、実際の影響は試算が必要です。
DMTTの登録を怠った場合はどうなりますか。
行政罰則としてAED 10,000が課されます。DDFEが代表して登録する場合、申請を怠った事業体ごとにAED 10,000が課されるため、UAE法人が複数ある場合は漏れがないかの確認が重要です。
日本の親会社側でも何か必要ですか。
日本はIIR(所得合算ルール)を導入しています。UAEのDMTTは経過的な適格(QDMTT)ステータスを取得しているため、UAEで課されたトップアップ税は親会社側で考慮されますが、本社のPillar Two申告・情報申告との整合は必要です。本社の税務部門と情報を共有しながら対応します。
