UAE法人税(Corporate Tax)影響アセスメント事例|Free Zone企業の9%課税判定とQFZP該当性分析【プライム上場企業】
- 18/02/2026
- Posted by: Kenichi
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― Free Zone 0%適用可否の再検証と9%課税判定 ―
UAE法人税(9%)導入により、Free Zone企業でも課税対象となるケースが発生しています。本事例では、プライム上場企業の既存UAE法人について、QFZP該当性と9%課税対象範囲を精緻に分析しました。
■結論(Executive Summary)
- Free Zoneでも自動的に0%ではない
- 所得に9%課税発生
- 実効税率は管理可能水準
- 事前構造整理によりリスク限定
1. クライアント情報
- 業種・業態:機械部品の製造・販売
- 提供製品・サービス:機械
- 企業規模:東証プライム市場一部/グローバル展開を行う日系大手企業
- 本社所在地:日本
- サービス提供地域:中東(UAE)
2. 背景
2023年6月、UAEに連邦法人税(9%)制度が導入されました。
本クライアントは、UAE Free Zoneに既存法人を有し、中東事業のハブとして長年運営していました。従来は実質的に無税環境で事業を展開していましたが、法人税導入により、以下の重要な論点が発生しました。
本件クライアントは:
- QFZP(Qualifying Free Zone Person)に該当可能か
- 0%適用が維持できるのか
- 9%課税対象となる所得の範囲はどこまでか
- 実効税率への影響はどの程度か
本件は単なる申告対応ではなく、
既存事業モデルの税務再評価プロジェクトでした。
3. 主な課題
本件は単純な税率計算ではありません。
以下の複合論点が絡みます:
① QFZP該当性の判定
Free Zone法人であっても、以下の条件を満たさなければ0%は適用されません。
- Qualifying Incomeの範囲
- Mainland取引の扱い
- Related Party取引の制限
- Adequate Substance要件
一部でも要件を満たさない場合、通常9%課税へ移行する可能性があります。
② 9%課税対象所得の確定
QFZPに完全該当しない場合、
- どの収益がNon-Qualifying Incomeに該当するのか
- 管理費・役務提供収益の扱い
- グループ内取引の価格設定
を明確にする必要がありました。
③ 本社経営企画・経理・財務部への影響整理
本件レポートは、経理・財務部門向けに作成され、
- 会計上の影響
- 税効果会計への影響
- 将来予算への反映
- 内部管理体制の見直し
を目的とした実務的資料として設計されました。
この結果、経営計画・財務諸表に落とし込まれました。
4. 当社のアプローチ
当社は、単なる制度説明ではなく、経営判断に耐えうる構造化アセスメントを実施しました。
Step 1:事業実態と収益構造の分解
- 収益源ごとの分類
- Mainland顧客取引の分析
- Related Party取引の再評価
- 契約実態と業務実態の整合確認
Step 2:QFZP該当性テスト
UAE法人税法およびExecutive Regulationsに基づき、
- Qualifying Income割合の算定
- Excluded Activities該当性確認
- Substance要件の検証
を実施。
Step 3:リスクマトリクス作成
以下の3パターンで比較分析を実施:
- QFZP完全維持
- 部分的Non-Qualifying Income発生
- 9%全面適用
実効税率への影響と財務インパクトを定量化。
5. 提供成果物
- UAE法人税影響アセスメントレポート(約40ページ)
- %課税影響シミュレーションモデル(Excel)
- 経営層向けExecutive Summary(10ページ)
- 経理・財務部向けブリーフィング資料
6. 結果
分析の結果、本クライアントはQFZP要件を完全には満たさず、
所得について9%課税が適用されることが判明しました。
- 9%課税対象所得の明確化
- 将来予算への反映可能
- 税務リスクの事前把握
- 取引構造の改善余地を特定
税負担は増加しましたが、
想定外のリスクを排除し、管理可能な水準へ整理することができました。
7. 本件の本質的価値
本プロジェクトの本質は、
「制度理解」ではなく
「構造の見える化」と「意思決定の明確化」
です。
当社はこれまでの中東現地運営支援を通じて得た実務知見をもとに、
- 制度
- 会計
- 税務
- オペレーション
- ガバナンス
を横断して整理し、断片的な情報を経営判断可能な状態へ再構築します。
8. こんな企業様に
- 「Free Zoneだから0%と思っている」
- 「初年度にQFZPを申請したから、毎年0%だと思っている」
- 「Mainland取引が増えている」
- 「管理費を海外へ支払っている」
- 「経理部から税務整理を求められている」
- 「日本本社がPillar 2対象」
- 「DMTT影響をまだ精査していない」
9. Biz Easyの強み
- UAE現地実務に基づく制度解釈
- Free Zone運営の実態理解
- 財務部門向け実務資料の作成経験
- グループ全体視点での構造整理
まとめ
UAE法人税は単なる「9%」の問題ではありません。
- Free Zoneモデルの持続可能性
- 事業構造の適法性
- グループ内取引の透明性
- 将来の税務調査耐性
です。
制度導入後に慌てるのではなく、
既存モデルを再設計することが競争優位につながります。
UAE法人税の影響を正確に把握できていますか?
Free Zone企業であっても、9%課税対象となるケースが多いです。
既存法人をお持ちの企業様は、早期の影響アセスメントをお勧めします。
