グローバル食品メーカー様|UAEにおけるDMTT(Domestic Minimum Top-up Tax)影響アセスメント支援
- 18/02/2026
- Posted by: Kenichi
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2025年度よりUAEでDMTTが施行される中、本クライアントは法人税申告にあわせ、その影響を正確に把握する必要がありました。
本アセスメントは、単なる税務対応にとどまらず、中東事業拡大を見据えた戦略的意思決定の一環として実施されました。
1. クライアント情報
- 業種・業態:グローバル消費財の製造・販売
- 提供製品・サービス:食品
- 企業規模:東証プライム市場一部/グローバル展開を行う日系大手企業
- 本社所在地:日本
- サービス提供地域:中東(UAE)
2. 背景
2024年以降、UAEでは連邦法人税(CIT 9%)の導入に加え、
OECD BEPS 2.0 Pillar Two(グローバル最低税率15%)に対応するDomestic Minimum Top-up Tax(DMTT)制度が施行されました。
本件クライアントは:
- グローバル売上7.5億ユーロ超の多国籍企業(MNE)
- UAE Free Zone法人を活用し中東事業を展開
- 日本本社はPillar Two対象
という典型的な「Pillar Two直撃構造」でした
最大の経営論点は以下でした:
- Free Zone 0%適用でも、Pillar Two上は15%未満になるのではないか
- UAEで課税されるのか、日本でIIR課税されるのか
- グループ全体の実効税率にどの程度影響するのか
3. 主なペインポイント
本件は単純な税率計算ではありません。
以下の複合論点が絡みます:
① QFZP 0%適用とPillar 2の整合性不明確
- 会計上は利益が出ている
- UAEでは0%適用可能
- QFZPを今後維持する必要性があるのか
- しかしGloBEベースではETRが15%未満になる可能性
② 対象年度の法人税納税の経営判断と税額決定
- 0%, 9%, 15%いくら申告すべきか
- 今後検討すべき税務方針は何か
- 移転価格ポリシーの再設計が必要か
③ 本社説明資料の不足
- 税務部門だけでなく、CFOレベルの意思決定資料が必要
- 定量シミュレーションが存在しない
クライアントが希望するゴール/成功条件
- Pillar 2の整合性の明確化
- 対象年度の法人税申告方針の決定
4. 当社のアプローチ
当社は、単なる制度説明ではなく、経営判断に耐えうる構造化アセスメントを実施しました。
Step 1:制度整理(Regulatory Mapping)
- UAE CIT法
- QFZP要件
- UAE DMTT制度
- OECD GloBEルール
- 日本IIR(Income Inclusion Rule)との関係
これらを整理し、「どこでTop-upが発生するのか」を構造化。
Step 2:ETRシミュレーション
- 会計利益ベース
- GloBE調整後利益
- Covered Taxes再計算
- ETR算定
- Top-up Tax想定額算出
3パターンの将来シナリオ分析
- Free Zone維持
- Mainland化
- 内部取引価格調整モデル
Step 3:リスクマトリクス作成
| リスク区分 | 発生可能性 | 影響度 | コメント |
| DMTT発生 | 中 | 高 | 利益水準次第 |
| 日本IIR発動 | 中 | 高 | DMTTとの相殺関係整理 |
| QFZP失効 | 低〜中 | 高 | Substance要件注意 |
| TP調整リスク | 中 | 中 | 文書化強化必要 |
4. 提供成果物
- DMTT影響評価レポート(約40ページ)
- 定量ETRシミュレーションモデル(Excel)
- 経営層向けExecutive Summary(10ページ)
- 本社説明用英語資料
- 将来構造最適化オプション比較表
5. 結果
- ✔ Free Zoneモデルは維持可能
- ✔ ただし利益水準と内部取引価格の最適化が前提
- ✔ DMTTにより日本側Top-upは限定的
- ✔ 追加法人設計は不要と判断
結果として、不要な法人再編を回避しつつ、
将来3年の税負担見通しを可視化することができました。
6. 本件の本質的価値
本プロジェクトの本質は、
「制度理解」ではなく
「構造の見える化」と「意思決定の明確化」
です。
当社はこれまでの中東現地運営支援を通じて得た実務知見をもとに、
- 制度
- 会計
- 税務
- オペレーション
- ガバナンス
を横断して整理し、断片的な情報を経営判断可能な状態へ再構築します。
7. こんな企業様に
- Free Zone 0%適用を活用している
- グローバル売上7.5億ユーロ超
- 日本本社がPillar 2対象
- DMTT影響をまだ精査していない
- 税務アドバイザーから定量分析が出ていない
まとめ
中東事業は、
「設立」よりも「設計」が重要な時代に入りました。
Biz Easyは、
中東現地実務とグローバル税務の交差点に立つ
実行支援型コンサルティングファームです。
