Free Zone Mainland Operating Permit完全ガイド——フリーゾーン企業のドバイ本土進出
Dubai Executive Council Resolution No.11/2025を根拠に導入されたFree Zone Mainland Operating Permitにより、Dubai Unified Licence(DUL)を保有するフリーゾーン企業は、新たな法人を設立せずに本土(メインランド)市場での事業活動が可能になりました。
制度概要——Dubai Unified LicenceとPermitの関係
2025年3月17日付のDubai Executive Council Resolution No.11/2025を根拠に、ドバイ経済観光局(DET)とDubai Business Registration and Licensing Corporation(DBLC)が導入した制度です。これにより、対象となるフリーゾーン企業は、本土に別法人(LLC)を新設することなく、既存のフリーゾーンライセンスのまま、限定的に本土市場での事業活動が可能になります。
本Permitの取得には、前提として「Dubai Unified Licence(DUL)」の保有が必要です。DULは、ドバイ内の企業情報を一元化するデジタル基盤であり、フリーゾーン企業が本土進出を検討する際の入口となる仕組みです。
- 申請はInvest in Dubai(IID)プラットフォームを通じて完全デジタルで完結する。
- DETによれば、対象となりうるドバイのフリーゾーン企業は1万社超と見込まれている。
対象範囲と適用外——何ができて、何が対象外か
制度導入当初の対象は、テクノロジー、コンサルティング、デザイン、専門サービス、トレーディングといった「非規制業種」に限定されています。金融フリーゾーンであるDIFCはこの制度の対象外であり、規制業種(金融、医療等)についても現時点では対象外です。DETは今後、規制業種への段階的拡大を示唆しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象業種 | テクノロジー・コンサルティング・デザイン・専門サービス・トレーディング等(非規制業種) |
| 対象外 | DIFC所属企業/規制業種(金融・医療等、将来的に拡大予定) |
| 有効期間 | 6ヶ月(同額で更新可能) |
| 費用 | AED 5,000(6ヶ月ごと) |
申請要件とプロセス——見落とされがちな条件
実務上見落とされやすいのが、本Permitの申請主体と物理オフィス要件です。申請できるのは会社のマネージャーに限定されており、また申請にはフリーゾーン内の「物理オフィス」の保有が必要で、フレキシデスクやバーチャルオフィスでは要件を満たしません。
Dubai Executive Council Resolution No.11/2025では、既に本土で無許可の事業活動を行っていたフリーゾーン企業に対し、2026年3月末までの体制是正の猶予期間(グレースピリオド)が設けられていました。この期限は既に経過しているため、無許可で本土活動を継続している場合は早急な是正対応が必要です。
- 1Dubai Unified Licence(DUL)を保有しているか確認する
- 2フリーゾーン内に物理オフィスを保有しているか確認する(フレキシデスク不可)
- 3Invest in Dubaiプラットフォームから、マネージャー名義でPermitを申請する
- 4DETによる対象活動リストとの照合を経て、承認・費用支払い後にPermitが有効化される
税務・会計上の留意点
本Permitを利用して本土活動から得た収益には、9%の法人税(Corporate Tax)が課され、フリーゾーンライセンス下の他の収益とは区分した会計記録の維持がFTA要件として求められます。フリーゾーン企業がQFZP(Qualifying Free Zone Person)として0%税率の適用を受けている場合、本土由来の収益がその適格性判定にどう影響するかは、個別に精査が必要な論点です。
既存スタッフをそのまま本土業務に充当できる点は、追加採用コストを抑えられるメリットです。一方で、会計上の収益区分・原価配賦のルールを事前に整備しておかないと、法人税申告時に混乱が生じやすいため、導入検討段階から会計チームを巻き込むことを推奨します。
Free Zone Mainland Operating Permitにより、DULを保有するフリーゾーン企業は新法人を設立せずに本土市場へアクセスできますが、対象業種・物理オフィス要件・9%法人税の区分経理など、実務上の要件を正確に理解した上での活用が必要です。2026年3月の是正猶予期限は既に経過しています。
