UAEにおけるVAT(付加価値税)
- 11/02/2026
- Posted by: Kenichi
- Category: INSIGHTS_JP

― 税務対応ではなく、事業設計の一部として考える ―
1. はじめに
UAEで事業を行う企業にとって、
VAT(付加価値税)は単なる税務手続きではありません。
価格設計、資金繰り、取引構造、さらには事業モデルそのものに影響する制度です。
本記事では、UAEにおけるVAT制度の概要とともに、
企業が実務上どのような視点でVATを捉えるべきかを整理します。
【要点まとめ】
- VATは「申告」よりも「事業設計」に影響する
- キャッシュフロー管理と密接に関係する
- 制度理解不足は利益圧迫につながる
2. UAEにおけるVAT制度の概要
UAEでは2018年よりVAT制度が導入され、
標準税率は 5% です。
登録義務は、
一定の課税売上高(現行基準:AED 375,000以上)を超える企業に発生します。達成した/達成するとわかってから1ヶ月以内に登録申請が必要となります。
3. なぜVATが事業設計に影響するのか
VATは売上に対して課税されますが、
企業は仕入れにかかるVATを控除できます。
しかし、以下のようなケースでは
実質的な負担が発生することがあります。
- 免税取引と課税取引が混在している場合
- 海外との取引構造が複雑な場合
- 仕入税額控除が制限されるケース
4. 企業が陥りやすいVATリスク
ケース1:企業が陥りやすいVATリスク
売上規模の予測を誤ると、
遡及課税や罰金の対象になる可能性があります。
ケース2:請求書要件の不備
VAT請求書の形式が適切でない場合、
仕入税額控除が認められないことがあります。
ケース3:キャッシュフローへの影響
売上時点でVATが発生するため、
入金前に税負担が発生するケースがあります。
5. VATとキャッシュフロー管理
VATは「利益」に課税されるものではありませんが、
資金繰りに直接影響します。特に、
- 長期回収サイトのビジネス
- 大型案件中心の事業
- 初期投資が大きい企業
では、VAT管理は極めて重要です。
6. UAEでの事業モデルとVAT
以下のような構造では、事前設計が重要になります。
- フリーゾーン法人とメインランド法人の取引
- フリーゾーン法人間の取引
- 輸出入取引
- グループ間取引
- 海外輸出向けUAE間取引
VATを後から調整するのではなく、
事業構造設計の段階で織り込む必要があります。
7. Biz Easyの視点
Biz Easyでは、
UAEでの会社設立・事業運営支援を通じて、
「VATの問題は税務処理ではなく、事業設計の問題である」
というケースを多く見てきました。
VATは制度理解だけでなく、
価格設定、契約条件、取引設計と連動させることで、
初めて適切に管理できます。
8. まとめ
UAEにおけるVATは、
- 登録するかどうか
- 申告をどう行うか
といった表面的な対応ではなく、
事業モデル全体を見直す契機となる制度です。
制度理解と同時に、事業構造を設計できる体制が重要です。
関連するご相談について
UAEにおけるVAT登録やVAT申告をはじめ、
VAT登録の要否判断、申告体制の整備、請求書要件の確認、
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