【2026年版】UAEの最新銀行情報と銀行選定の判断軸と注意事項

― UAE法人銀行口座を開設・運営する企業が知っておくべき判断ポイント ―

【要点まとめ】
・UAEの法人銀行選定は「有名か」ではなく「事業内容・運営」で決まる
・銀行口座は開設よりも、その後の運営・関係性が重要
・本記事では、Forbes Middle East 2025を参考に、実務視点で銀行を整理

2026年最新の規制・実務動向を踏まえると、
UAE進出における銀行選定の成否は、
「どこで口座を開くか」ではなく
「事業としてどう運営・関係性構築し続けられるか」で決まる。

はじめに

UAEでの銀行口座開設は、
「どの銀行が有名か」「ロゴをよく見るか」といった観点だけで判断すると、
運営フェーズで思わぬ支障が生じるケースが少なくありません。

本記事では、UAEにおける主要銀行の特徴を整理するとともに、
UAEで事業を行う企業が、どのような視点で銀行を選定すべきかを、
Biz Easyの支援経験を踏まえて解説します。

本記事は、特定の銀行を推奨するものではなく、
銀行選定の判断材料を整理するための参考情報としてご覧ください。

本記事では、Forbes Middle Eastが発表した「30 Most Valuable Banks 2025」を参考にしつつ、
Biz Easyの実務支援経験を踏まえ、
UAEで企業が実際に検討することの多い銀行を取り上げています。

    UAEで銀行選定が重要な理由

    UAEでは、銀行口座は単なる決済手段ではありません。
    以下の点において、事業運営の基盤となります。

    • 銀行口座がなければ、事業活動が事実上開始できない
    • AML(アンチマネーロンダリング)対応が不十分だと、取引が止まる
    • ライセンス更新や当局対応時にも、銀行との関係が影響する

    特に近年は、
    銀行側の審査・モニタリングが年々厳格化しており、
    「開設できたが、運営できない」という事例も増えています。

    UAEにおける銀行選定の基本的な考え方

    銀行選定においては、以下の視点を整理することが重要です。

    • 法人形態(フリーゾーン/メインランド)
    • 事業内容(商社、サービス、投資、IT 等)
    • 株主構成(個人/法人/海外株主)
    • 取引内容(国内中心か、国際送金が多いか)
    • 将来の事業規模・展開計画

    「最初にどこで開けるか」よりも、
    「長い関係性の構築や開設後のコミュニケーションの円滑さ、サービスの良さ」が重要です。

    【銀行選定の目安】

    ・大企業 → FAB / Emirates NBD / Mashreq
    ・中堅規模 → ADCB / CBD / Emirates NBD / Mashreq
    ・中小・初進出 → RAKBANK (ネットバンク) / Mashreq (ネットバンク)
    ・IT・スタートアップ → WIO (ネットバンク) / Mashreq (ネットバンク)

    【実務上の注意】
    銀行口座の開設可否や条件は、事業内容・株主構成・取引内容によって変わります。
    過去に開設できた事例があっても、同条件で再現できるとは限りません。
    また、UBO (Ultimate Beneficial Owner:実質的支配者)が複雑なケースだと、開設時に書類準備や承認を含めて、非常に時間がかかります。

    UAE主要銀行10選(2025年版)

    ここではフォーブス中東の記事をもとにピックアップした銀行10行を紹介します。以下は、UAEで企業が検討することの多い主要銀行です。。

    ※()内は2024年版記事の数値

    1. First Abu Dhabi Bank(FAB)

    UAE最大規模の銀行で、法人取引に強みがあります。

    <こんな企業に向いている>

    • 一定規模以上の事業を想定している企業
    • 国際送金やグループ取引が多い企業

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:3位(3位)
    • 設立:2017年
    • 本社:UAE、アブダビ
    • CEO:Hana Al Rostamani
    • 売上高:209億ドル(200億ドル)
    • 利益:47億ドル(45億ドル)
    • 総資産:3,304億ドル(3,182億ドル)
    • 市場価値:437億ドル(375億ドル)

    2025年、FABはUAE最大の時価総額と資産規模を誇る銀行となり、UAEの20の市場で事業を展開、400万人以上の顧客基盤を持ちます。FABの2025年の純利益は47億ドルで、毎年増加しています。また、2024年10月に2億ドルの米ドル満期固定ポートフォリオとして資金調達しました。FABは、2030年までに1,350億ドル以上のグリーン・ファイナンスを提供することを約束しており、これは2021年のコミットメントである750億ドルから80%増となります。

    2. Emirates NBD

    ドバイを代表する銀行で、外国企業の利用実績も多い銀行です。

    <こんな企業に向いている>

    • ドバイを拠点とする事業
    • 日常取引が多いサービス業

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:6位(6位)
    • 設立:2007年
    • 本社:UAE、ドバイ
    • CEO:Shayne Nelson
    • 売上高:263億ドル(202億ドル)
    • 利益:63億ドル(59億ドル)
    • 総資産:2,714億ドル(2,349億ドル)
    • 市場価値:347億ドル(288億ドル)

    エミレーツNBDは、2007年にエミレーツ銀行インターナショナルとドバイ国立銀行の合併により設立されました。現在、848の支店、2つの駐在員事務所、17の子会社を持ち、13か国で900万人以上のアクティブ顧客にサービスを提供しています。2024年、当行の総資産は15.5%増加し2,714億ドルに達しました。同年12月には、5億ドル規模のサステナビリティ連動型融資債券をナスダック・ドバイに上場しました。

    3. ADCB Group

    アブダビ系の大手銀行で、安定した運営実績があります。

    <こんな企業に向いている>

    • 中堅規模の事業
    • UAE国内取引が中心の企業

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:8位(11位)
    • 設立:2020年
    • 本社:UAE、アブダビ
    • CEO:Ala’a Eraiqat
    • 売上高:109億ドル(89億ドル)
    • 利益:26億ドル(22億ドル)
    • 総資産:1,777億ドル(1,544億ドル)
    • 市場価値:221億ドル(166億ドル)

    ADCBグループは、2020年にアブダビ商業銀行とユニオン国立銀行の合併とアルヒラル銀行の買収により設立されました。現在、同グループはUAE、エジプト、カザフスタンの109以上の支店を通じて240万人以上の顧客にサービスを提供しています。2024年の当行純利益は14.8%増の26億ドル、総資産は15.1%増の1,777億ドルに達した。

    4. Abu Dhabi Islamic Bank(ADIB)

    イスラム金融に基づく銀行です。

    <こんな企業に向いている>

    • イスラム金融に適合する事業
    • 利息取引を伴わないビジネスモデル

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:12位(16位)
    • 設立:1997年
    • 本社:UAE、アブダビ
    • CEO:Mohammed Abdelbary
    • 売上高:41億ドル(34億ドル)
    • 利益:17億ドル(14億ドル)
    • 総資産:615億ドル(525億ドル)
    • 市場価値:174億ドル(111億ドル)

    ADIBは、146万人以上の顧客に小売、法人、ビジネス、プライベートバンキング、資産管理ソリューションを提供しています。アラブ首長国連邦に本社を置くADIBは、エジプト、英国、スーダン、カタール、イラクを含む5つの市場で国際的に事業を展開しています。2024年9月、ADIBはエミレーツ開発銀行と提携し、共同金融保証スキームを通じて中小企業を支援しました。2024年、当行の総資産は17.2%増加し615億ドルに達しました。2025年1月、子会社のADIBキャピタルは欧州物流ファンドIを立ち上げ、投資家にドイツ及び西ヨーロッパ全域の物流資産へのアクセスを提供しています。

    5. Dubai Islamic Bank(DIB)

    イスラム銀行の中でも最大級の規模を持ちます。

    <こんな企業に向いている>

    • UAE国内市場向け事業
    • 不動産・サービス系事業

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:13位(14位)
    • 設立:1975年
    • 本社:UAE、ドバイ
    • CEO:Adnan Chilwan
    • 売上高:64億ドル(55億ドル)
    • 利益:22億ドル(19億ドル)
    • 総資産:939億ドル(856億ドル)
    • 市場価値:147億ドル(108億ドル)

    DIBは、UAE、パキスタン、スーダン、インドネシア、ボスニア、ケニア、トルコを含む7か国の500万人以上の顧客にシャリアに準拠した銀行サービスを提供しています。2024年、DIBの資産は9.7%増加し939億ドルに達した。2025年1月には、トルコのデジタル銀行T.O.M. Groupに対する持株比率を20%から25%に引き上げた。

    6. Mashreq

    デジタル対応に積極的な老舗銀行です。

    <こんな企業に向いている>

    • IT・スタートアップ
    • 少人数での事業運営

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:17位(17位)
    • 設立:1967年
    • 本社:UAE、ドバイ
    • CEO:Ahmed Abdelaal
    • 売上高:66億ドル(52億ドル)
    • 利益:25億ドル(24億ドル)
    • 総資産:728億ドル(653億ドル)
    • 市場価値:129億ドル(98億ドル)

    マシュレク銀行は1967年に設立され、UAE、バーレーン、クウェート、エジプト、香港、インド、パキスタン、カタール、英国、米国に支店を有し、国際的に事業を展開しています。2024年7月には、インド国立銀行向けに7億5000万ドルのシニア無担保シンジケート・タームローン・ファシリティを組成した。2024年9月、アルカピタ・グループ・ホールディングス・リミテッドとDgpaysは、マシュレックからNEOPAYの過半数株式を約3億8500万ドルで取得する合意に達した。同銀行の2024年純利益は25億ドルで、2023年の24億ドルから増加した。

    7. Commercial Bank of Dubai(CBD)

    中堅規模の銀行で、柔軟な対応が評価されています。

    <こんな企業に向いている>

    • 中小規模企業
    • UAE国内向け事業

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:20位(26位)
    • 設立:1969年
    • 本社:UAE、ドバイ
    • CEO:Bernd van Linder
    • 売上高:26億ドル(23億ドル)
    • 利益:8億2,500万ドル(7億2,200万ドル)
    • 総資産:382億ドル(351億ドル)
    • 市場価値:62億ドル(55億ドル)

    CBDは、機関・法人・個人顧客向けに従来型およびイスラムの銀行商品とサービスを提供し、12の支店と160のATMおよびCDMを運営しています。2024年12月時点で従業員数は約1,200名。2024年10月にはユーロ中期債プログラムに基づき、5億ドルの5年物無担保優先債を発行した。ドバイ投資公社は2025年2月19日現在、20%の株式を保有する同銀行の筆頭株主である。2024年時点の銀行総資産は382億ドルに達した。

    8. National Banl of Ras Al-Khaimah(RAKBANK)

    中小企業向けサービスに強みがあります。

    <こんな企業に向いている>

    • 小規模事業
    • 初めてUAEで事業を行う企業

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:ー位(-位)*ランク外
    • 設立:1976年
    • 本社:UAE、ラスアルハイマ
    • CEO:Raheel Ahmed
    • 売上高:19億ドル(17億ドル)
    • 利益:5億6,500万ドル(4億8,600万ドル)
    • 総資産:241億ドル(201億ドル)
    • 市場価値:36億ドル(28億ドル)

    RAKBANKは、2025年3月時点で、20の支店を持ち、リテール、商業、イスラム銀行、財務サービスを提供しています。2025年4月時点で、ラス・アル・ハイマ政府は同銀行の49.35%の株式を保有していた。2024年7月、中小企業および医療セクター支援のため、20億ユーロの中期社債プログラムに基づく5年物ソーシャルボンドで6億ドルを調達した。2024年8月には、教育費や課外活動費を管理する家族向け決済プラットフォーム「Skiply 2.0」をローンチ。2024年時点で315の教育機関、17万6,000人以上のユーザー、29万6,000人以上の学生が利用している。

    9. Emirates Islamic

    Emirates NBDグループのイスラム銀行です。

    <こんな企業に向いている>

    • イスラム金融を選択肢に入れたい企業

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:ー位(ー位)*ランク外
    • 設立:1975年
    • 本社:UAE、ドバイ
    • CEO:Farid Al Mulla
    • 売上高:20億ドル(17億ドル)
    • 利益:7億6,500万ドル(5億7,800万ドル)
    • 総資産:303億ドル(239億ドル)
    • 市場価値:181億ドル(98億ドル)

    エミレーツイスラム銀行(旧ミドル イースト銀行)は 1975 年に設立され、2004 年にイスラム銀行に転換されました。ドバイに本社を置くほか、2024年12月時点でUAE国内に40支店を展開している。2025年6月、エミレーツNBDによる全残株の強制買収完了を受け、ドバイ金融市場からの上場廃止を発表した。

    10. WIOバンク

    近年注目されているデジタル銀行です。

    <こんな企業に向いている>

    • シンプルな取引構造の企業
    • スタートアップ・IT企業

    <基本情報>

    • フォーブス中東ランキング:ー位(ー位)*ランク外
    • 設立:2022年
    • 本社:UAE、アブダビ
    • CEO:Jayesh Patel
    • 売上高:ー
    • 利益 :ー
    • 総資産:ー
    • 市場価値:ー

    Wio Bank PJSCは、デジタルバンキングアプリ、組み込みファイナンス、バンキング・アズ・ア・サービス・ソリューションを提供しています。同社は2022年9月に初のデジタルバンキングアプリケーション「Wio Business」をリリースしました。その後、個人顧客向けの「Wio Personal」が続きました。2023年7月、Wio BankはADXと契約を結び、ユーザーがWio Personal銀行口座を通じてADXのUAE IPOに即座にデジタルアクセスできるようにしました。ADQとAlpha Dhabiが主要株主で、合わせて65%の株式を保有し、e&が25%、First Abu Dhabi Bank(FAB)が10%を保有しています。同社は2023年12月時点で9万人以上の顧客を抱えています。

    デジタル銀行・イスラム銀行を選ぶ際の注意点

    • デジタル銀行は利便性が高い一方、
      複雑な取引や将来的な拡張に向かない場合があります。
      但し、会社設立時は基本的には選択せざるを得ないケースがほとんどです。
    • イスラム銀行は、
      取引構造に制約があるため、事業内容との整合性が重要です。

    Biz Easyの視点:銀行選定は「入口」であり「運営」が本番

    Biz Easyでは、UAEでの会社設立・事業運営支援を通じて、
    銀行口座開設が「ゴール」ではなく、
    AML対応や取引説明を含めた運営フェーズが重要であることを数多く見てきました。

    銀行選定は、事業内容・将来計画・管理体制を踏まえて行うべき経営判断です。

    日本での銀行口座開設と同じように、オンラインバンクは開設しやすい傾向にあり、大手になればなるほど、実績や売上などを求められるケースが多い。日本でも会社ステージによって、付き合う銀行が変わるように、この感覚はUAEにもあてはまります。銀行との信頼性を構築していくことが重要です。

    まとめ

    UAEでの銀行選定は、

    • 有名だから
    • 他社が使っているから

    ではなく、
    「自社の事業と銀行の方向性がマッチするか」という視点で考えることが重要です。

    適切な銀行選定と運営体制の構築が、
    UAEでの安定した事業運営につながります。

    【銀行選定の目安】
    ・大企業 → FAB / Emirates NBD / Mashreq
    ・中堅規模 → ADCB / CBD / Emirates NBD / Mashreq
    ・中小・初進出 → RAKBANK (ネットバンク) / Mashreq (ネットバンク)
    ・IT・スタートアップ → WIO (ネットバンク) / Mashreq (ネットバンク)

    免責事項

    本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、
    特定の銀行を推奨するものではありません。
    実際の銀行選定にあたっては、事業内容や状況に応じた検討が必要です。

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    UAEでの銀行口座開設、銀行対応相談、AML・UBO対応に関するご相談については、
    事業内容を踏まえた整理を含め、ご相談いただけます。



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