【2026年版】サウジアラビアの最新銀行情報と銀行選定の判断軸と注意事項
- 06/02/2026
- Posted by: Marie
- Category: INSIGHTS_JP

― サウジアラビアで法人銀行口座を開設・運営する企業が知っておくべき判断ポイント ―
【要点まとめ】
・サウジアラビアでは銀行口座開設が事業許可と密接に連動する
・外国企業は口座開設後も継続的な説明・報告が求められる
・銀行選定は事業計画と資金管理体制を前提に行う必要がある
2026年最新の規制・実務動向を踏まえると、サウジアラビア進出における銀行選定の成否は、
「どこで口座を開くか」ではなく
「事業としてどう運営・関係性構築し続けられるか」で決まる。
はじめに
サウジアラビアでの法人銀行口座開設は、
UAEと異なり 「銀行単体の審査」では完結しません。
事業許可(MISAライセンス)、会社設立形態、
資金の流れ、雇用体制、実際の事業実態が一体として評価され、
銀行口座はその結果として開設されるものです。
本記事では、Forbes Middle Eastが発表した「30 Most Valuable Banks 2025」を参考にしつつ、
サウジアラビアにおける主要銀行の特徴を整理するとともに、
外国企業が銀行選定を行う際に、どのような視点で判断すべきかを、
Biz Easyの実務支援経験を踏まえて解説します。
なぜサウジアラビアの銀行選定の難しさ
サウジアラビアでは、以下の点が銀行選定・口座開設を難しくしています。
- 外国企業に対する慎重な審査姿勢
- 銀行と政府当局(MISA等)の距離が近い
- 実体のない会社・名義貸しへの強い警戒
- 事業開始後も継続的な説明・報告が求められる運用
つまり、
「設立したから口座が開ける」ではなく、
「事業として説明できるか」が常に問われる環境です。
また、文化的に丁寧な事前説明はなく、使ってみないとわからない、色々な人が言うことが違うということも影響を与えています。
サウジアラビアにおける銀行選定の基本的な考え方
銀行選定にあたっては、
以下の点を事前に整理しておくことが重要です。
- MISAライセンスの内容(業種・活動範囲)
- 事業の実態(オフィス、人員、取引先)
- 資金の流れ(本社送金/現地売上)
- サウダイゼーション(雇用要件)への対応
- 中長期的な事業計画
銀行は「計画」ではなく「実行可能性」を見ています。
サウジアラビア主要銀行(外国企業が検討することの多い銀行)
以下は、外国企業が実務上検討することの多い銀行です。
※特定の銀行を推奨するものではありません
※()内は2024年版記事の数値
1. Al Rajhi Bank

イスラム銀行として最大級の規模を誇ります。
<こんな企業に向いている>
- 中堅規模の外国企業
- 現地売上を伴う事業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:1位(1位)
- 設立 :1957年
- 本社 :サウジアラビア、リヤド
- CEO :Waleed A. Al-Mogbel
- 売上高 :161億ドル(134億ドル)
- 利益 :53億ドル(44億ドル)
- 総資産 :2,598億ドル(2,155億ドル)
- 市場価値:1,047億ドル(827億ドル)
alrajhi銀行は2024年12月時点で、サウジアラビア国内外に550の支店を展開し、1,850万人以上のアクティブな顧客にサービスを提供しています。2024年9月、同行はサウジ金融アプリ「ドラヒム」の65%株式を取得。2025年1月にはタトウィール社と6億6670万ドルの融資契約を締結し、15億ドル建ての追加Tier1資本持続可能スクークを発行した。2024年、当行の純利益は18.7%増の53億ドル(過去最高)に達し、総資産は20.6%増の2,598億ドルに拡大した。
2. Saudi National Bank(SNB)

サウジ最大規模の銀行で、政府系案件との関係も深い銀行です。
<こんな企業に向いている>
- 大手企業・長期進出を前提とする企業
- 政府・国営企業との取引を想定している企業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:2位(2位)
- 設立 :2021年
- 本社 :サウジアラビア、リヤド
- CEO :Tareq Al Sadhan
- 売上高 :187億ドル(157億ドル)
- 利益 :56億ドル(54億ドル)
- 総資産 :2,944億ドル(2,766億ドル)
- 市場価値:573億ドル(591億ドル)
Saudi National Bank (SNB) は、1953年にNCBとして設立され、2021年にサンバ・ファイナンシャル・グループと合併してSNBとなりました。2024年12月時点では、サウジアラビア国内で481の支店、21のリテールサービスセンター、93のクイックペイ送金センターを運営するほか、バーレーン、U.A.E.、カタール、シンガポールの海外4支店とパキスタンとトルコに子会社を運営しています。2024年12月時点で、1,440万人の顧客にサービスを提供し、総資産は2,944億ドルを記録しています。2024年7月には台湾のフォルモサ市場に進出し、50億ユーロの中期社債プログラムに基づき、5億ドルの5年物シニア無担保変動金利債(FRN)を発行しました。
3. Riyad Bank

外国企業の利用実績が多い商業銀行です。
<こんな企業に向いている>
- 中堅規模の外国企業
- 現地売上を伴う事業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:9位(8位)
- 設立 :1957年
- 本社 :サウジアラビア、リヤド
- CEO :Nadir Al-Koraya
- 売上高 :80億ドル(68億ドル)
- 利益 :25億ドル(21億ドル)
- 総資産 :1,201億ドル(1,032億ドル)
- 市場価値:250億ドル(222億ドル)
1957年に設立されたリヤド銀行は、サウジアラビア国内に333支店、ロンドンに1支店、ヒューストンに代理店、シンガポールに駐在員事務所を展開している。2024年9月、リヤド銀行は7億5000万米ドル建ての追加的Tier 1資本サステナブル・スクーク発行を完了した。2025年1月には、5億3330万サウジアラビア・リヤル建ての追加的ティア1資本スクークを発行した。2024年の当行純利益は15.9%増加し25億ドルに達し、総資産は16.42%急増して1201億ドルとなった。
4. Alinma Bank

政府系色が強く、インフラ・公共性の高い取引に強みを持つ商業銀行です。
<こんな企業に向いている>
- 長期的にサウジ市場で事業を展開する企業
- 公共性・インフラ関連ビジネスを想定している企業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:10位(9位)
- 設立 :2006年
- 本社 :サウジアラビア、リヤド
- CEO :Abdullah Ali Al Khalifa
- 売上高 :53億ドル(43億ドル)
- 利益 :16億ドル(13億ドル)
- 総資産 :738億ドル(631億ドル)
- 市場価値:200億ドル(217億ドル)
アリンマ銀行は、サウジアラビアの公共投資基金(PIF)、公的年金庁、社会保険総局によって2006年に設立されました。現在、2024年12月時点で、サウジアラビア全土に550万人の顧客を有している。2024年10月、同銀行はバフリ社と7億5600万ドルのムラバハ融資契約を締結し、最新鋭の石油タンカー9隻の購入資金の一部を調達した。2024年の銀行純利益は前年比20.5%増の16億ドルに達した。
5. Saudi Awwal Bank (SAB)

HSBCの影響を受けた、国際対応力の高い商業銀行です。
<こんな企業に向いている>
- 外資系企業・多国籍企業
- 本社との資金移動や国際取引が多い企業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:11位(10位)
- 設立 :1978年
- 本社 :サウジアラビア、リヤド
- CEO :Tony Cripps
- 売上高 :70億ドル(58億ドル)
- 利益 :22億ドル(19億ドル)
- 総資産 :1,065億ドル(951億ドル)
- 市場価値:194億ドル(219億ドル)
SABは1978年にサウジ・ブリティッシュ・バンクとして設立されました。その後2019年にアラワル銀行と合併し、2023年4月にサウジ・アウワル銀行に名称を変更しました。サウジアラビア国内に103支店を展開し、従業員数は4,062名である。2024年12月、SABは11億米ドル相当のサウジ・リヤル建て追加的Tier 1スクークを発行した。SABの2024年純利益は15%超増加し、22億米ドルに達した。
6. Bank Albilad

イスラム金融をベースとした銀行で、比較的柔軟な対応が評価されています。
<こんな企業に向いている>
- イスラム金融に適合する事業モデル
- 比較的シンプルな取引構造の企業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:16位(12位)
- 設立 :2004年
- 本社 :サウジアラビア、リヤド
- CEO :Abdulaziz Alonaizan
- 売上高 :27億ドル(25億ドル)
- 利益 :7億4,800万ドル(6億3,200万ドル)
- 総資産 :413億ドル(382億ドル)
- 市場価値:118億ドル(116億ドル)
バンク・アルビラドは、サウジアラビア全土の 107 以上の支店を通じて、シャリーアに準拠した銀行サービスを提供しています。アルビラド投資会社、アルビラド不動産会社、エンジャズ決済サービス会社、および投資向け金融ソリューション会社は、バンク・アルビラドが完全所有しています。2025年2月19日現在、モハメッド・イブラヒム・アルスバイエ&サンズ社が19.3%の株式を保有し、当行の筆頭株主となっています。バンク・アルビラドの純利益は2024年に18.5%増加し、7億4840万ドルに達しました。
7. Arab National Bank (ANB)

安定志向の商業銀行です。
<こんな企業に向いている>
- 長期的に事業を行う中堅企業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:18位(19位)
- 設立 :1979年
- 本社 :サウジアラビア、リヤド
- CEO :Obaid Alrasheed
- 売上高 :46億ドル(40億ドル)
- 利益 :13億ドル(11億ドル)
- 総資産 :662億ドル(588億ドル)
- 市場価値:119億ドル(114億ドル)
1979年に設立されたANBは、サウジアラビア国内に122支店、58の送金センター、英国に1支店を展開している。2024年5月、サウジ不動産リファイナンス会社はANBとのリファイナンス契約を1億3330万ドル追加で延長した。2024年の当行純利益は22%増の13億ドルに達した。2025年2月19日現在、ヨルダンのアラブ銀行がanbの株式40%を保有している。
8. Banque Saudi Fransi(BSF)

フランス系銀行の影響を受けた商業銀行です。
<こんな企業に向いている>
- 欧州系企業
- 国際取引が多い企業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:19位(15位)
- 設立 :1977年
- 本社 :サウジアラビア、リヤド
- CEO :Bader Alsalloom
- 売上高 :50億ドル(41億ドル)
- 利益 :12億ドル(11億ドル)
- 総資産 :781億ドル(676億ドル)
- 市場価値:123億ドル(116億ドル)
BSFは、1977年にサウジアラビアの外国銀行が国有化されるまで、フランスのインドシナ・スエズ銀行として知られていました。2024年6月、バンク・サウジ・フランシはBSFブランド名への移行を完了した。BSFはサウジアラビア全土で約130万の顧客に法人・商業銀行サービスを提供している。2024年12月時点で、同行は81支店、393台のATM、27,816台の端末を通じて3,056人を雇用している。2025年1月、BSFは7億5000万ドルのスークークを発行した。2024年11月には、26の投資家から7億5000万ドルの5年物アジアシンジケートローンを確保した。2025年2月19日現在、キングダム・ホールディング・カンパニーが16.2%の株式を保有するBSFの筆頭株主である。2024年時点の総資産は781億ドルであった。
9. Bank Al Jazira(BAJ)

イスラム銀行としての歴史を持ち、国内取引に強みがあります。
<こんな企業に向いている>
- サウジ国内市場向けの事業
- 国内売上が中心の企業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:24位(29位)
- 設立 :1975年
- 本社 :サウジアラビア、
- CEO :Naif A. Al Abdulkareem
- 売上高 :26億ドル(20億ドル)
- 利益 :3億2,800万ドル(2億7,200万ドル)
- 総資産 :397億ドル(345億ドル)
- 市場価値:46億ドル(44億ドル)
2024年6月、バンク・アルジャジーラはソリダリティ・グループ・ホールディングが保有するアルジャジーラ・タカフル・タアウニ社の株式7.05%を2,030万ドルで取得した。2024年12月時点で、バンク・アルジャジーラはサウジアラビア国内の73支店および38カ所のファウリ送金センターにおいてシャリーア準拠の銀行サービスを提供している。2025年1月、同行は13億SARの追加Tier 1資本スクーク発行プログラムの一環として、2億6670万SAR建ての追加Tier 1スクークを発行した。2024年の銀行の純利益は20.7%増加し、3億2830万SARに達した。
10. Saudi Investment Bank(SAIB)

企業金融・投資関連業務に強みを持つ商業銀行です。
<こんな企業に向いている>
- 投資・金融関連ビジネス
- 中長期的な資金管理を重視する企業
<基本情報>
- フォーブス中東ランキング:26位(28位)
- 設立 :1976年
- 本社 :サウジアラビア、リヤド
- CEO :Faisal Al-Omran
- 売上高 :26億ドル(22億ドル)
- 利益 :5億2,200万ドル(4億7,000万ドル)
- 総資産 :418億ドル(347億ドル)
- 市場価値:50億ドル(45億ドル)
SAIBは、2024年9月現在、サウジアラビア国内の51支店で92万7,000人以上の顧客にサービスを提供している。2024年11月、SAIBは7億5000万米ドル建ての追加的Tier 1資本持続可能スクークを発行した。同銀行のベンチャー創出プラットフォーム「SAIB Venture Studio」は2024年に稼働を開始し、最初の製品として「SAIB Travel App」を提供した。2024年の銀行総資産は20.5%増加し、418億米ドルに達した。
イスラム銀行を選ぶ際の注意点
サウジアラビアでは、
イスラム銀行の存在感が非常に大きい一方で、
- 利息取引の制限
- 契約形態の違い
- 取引スキームへの影響
など、事業モデルへの適合性を事前に慎重に確認する必要があります。
Biz Easyの視点:サウジの銀行選定は「事業説明力」がすべて
Biz Easyでは、
サウジアラビアでの会社設立・事業運営支援を通じて、
銀行口座開設が「結果」であり、「準備と運営」が本質であることを数多く見てきました。
- 事業許可と実態が一致しているか
- 資金の流れが明確か
- 雇用・運営体制が説明できるか
これらが整っていない場合、
どの銀行を選んでも結果は変わりません。まとめ
サウジアラビアにおける銀行選定は、
- 銀行名の比較
- 開設スピード
ではなく、
「事業として説明し続けられる体制を構築できるか」という経営判断です。
銀行選定は、
サウジでの事業を 本気で根付かせるかどうか の試金石とも言えます。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、
特定の銀行を推奨するものではありません。
実際の銀行選定・口座開設にあたっては、
事業内容や状況に応じた検討が必要です。
関連するご相談について
サウジアラビアでの会社設立、銀行口座開設、
事業運営・ガバナンス体制の構築に関するご相談については、
状況に応じた整理・支援を行っています。