UAEにおけるマネージャー変更 – 会社登録変更手続きの進め方 –

Changingmanagerregistration

駐在員の交代などで支店、現地法人のマネージャー(General ManagerやBranch managerなど)が変わると、UAEでは適切に会社登記を変更する必要があります。その会社がフリーゾーンで事業を行っているか、メインランドで事業を行っているかによって、異なる手続きが必要となります。ここではメインランドとフリーゾーンにおける一般的なマネージャー登記変更のプロセス及び必要書類について解説します。


目次

  1. フリーゾーン企業の主なプロセス
  2. メインランド企業の主なプロセス
  3. タイムライン
  4. 必要書類
  5. 決議書の記載内容
  6. 委任状(POA)の記載内容
  7. 書類の認証(アテステーション)とアラビア語翻訳
  8. 法人銀行口座の代表サイン権の手続き
  9. 登記変更後の諸手続き

第1章: フリーゾーン企業の主なプロセス

UAEのフリーゾーンにおいて会社のマネージャー(一般的にはGeneral ManagerやDirectorに相当)の変更を行う場合、当局指定のオンラインポータルやフォームを通じて、各フリーゾーン当局への申請を行うのが一般的です。基本的な流れは、まず取締役会で新旧マネージャーの交代を承認した後、取締役会決議書を作成し、書類の認証を取得してから、新任マネージャーの個人書類等と一緒にフリーゾーン当局へ提出します。

多くのフリーゾーンでは、変更があった日から一定期間(例えば14営業日以内)に当局へ届け出ることが義務付けられており、適切なタイムラインで書類を準備し申請を出すことが必要です。申請の受理後、当局による審査・承認プロセスを経て、改定された定款(MOA)にサインを行うと、登記上のマネージャー情報が更新され、新しいライセンスが発行されます。フリーゾーンや会社形態、株主の種類などによって多少の違いがあり、Certificate of Incumbency(役員・株主の在職証明書)や株主決議書などを求められることもあります。


第2章: メインランド企業の主なプロセス

メインランド企業は、例えばドバイの場合、ドバイ経済開発局(DET = Dubai Economy & Tourism、旧称Department of Economic Development = DED)を通じて変更を行います。まず取締役会で新旧マネージャーの交代を承認した後、取締役会決議書を作成し書類の認証を取得、ポータルや認可代理サービスなどを通じて、新マネージャーの書類とともに申請します。それに基づき、当局で定款(MOA)の追加修正(Addendum)が作成され、株主がDETを訪問してMOAにサインをします。管轄当局での審査・承認が下りると、商業ライセンス上のマネージャー名が新任者に更新され、新しいライセンスが発行されます。株主のDET訪問が難しい場合、委任状(POA)を発行することも可能です。POAも書類認証が必要です。


第3章: タイムライン

フリーゾーンの場合、概ね数営業日から2週間程度とされています。ただし、書類不備や追加承認が必要な場合は時間が延びたり、当局による遅れが発生する場合もあります。メインランドの場合、1〜3週間程度が目安ですが、何らかの追加承認(例えば特定業種で規制当局の許可が必要な場合)や修正契約の再調整が発生すると期間は延びます。書類認証の取り直しなどが発生すると、さらに時間が必要になります。


第4章: 必要書類

決議書等は英文で作成し、メインランドの場合は認証プロセスの途中でアラビア語に翻訳します。

書類フリーゾーンメインランド備考
取締役会決議書(株主決議書)法人株主の場合は基本的に取締役会決議書が必要。LLC(有限責任会社)で個人株主のみの場合や、フリーゾーンによって株主決議書が必要な場合もある。
新任マネージャーの個人書類新任マネージャーのパスポートのコピー、顔写真、UAEビザとエミレーツIDのコピー(ある場合)等。フリーゾーンによっては、新任者の現在の住所証明書などを要求される場合もある。
定款の修正フリーゾーンの場合、フリーゾーン当局から発行された修正の定款にサインをする。ドバイメインランドの場合、追加修正の定款(Addendum)にサインをするために株主がDETを訪問する必要がある。
署名見本(Specimen Signature)フリーゾーンの場合、新任マネージャーの署名見本が必要。当局所定のフォームに新任者が署名したものを提出する。通常、署名見本はフリーゾーン担当者の面前で署名するか、公証人による認証が必要。
委任状(POA)通常、委任状(POA)を発行することでサイン権限者に権限の付与が可能。
その他商業ライセンスの原本、旧マネージャーの辞任届または解任に関する書面、会社の法人形態によってはCertificate of Incumbency*(役員・株主の在職証明書)など。会社名義の施設契約書(Ejari)などライセンス更新要件に付随する書類が最新であることも求められる。

※Certificate of Incumbency: 会社の現在の役員や代表者を証明する公式文書で、会社の現在の取締役、マネージャーの氏名及び役割、株主情報、会社の発行資本金などが書かれた書類。提出が求められる場合、同様に認証が必要。


第5章: 決議書の記載内容

取締役会決議書には、以下の内容を明確に記載する必要があります。

  • 現在のマネージャーの解任または辞任承認(氏名と解任/辞任の日付)
  • 新任マネージャーの選任(氏名と就任日)
  • 新任者の権限範囲(会社を代表し契約を締結する権限など)


第6章: 委任状(POA)の記載内容

法人株主が会社変更手続き等の権限を付与するには、委任状 (POA=Power of Attorney) を発行します。POAにより、株主がUAE国内にいない場合でも委任された権限者がサインを行い手続きを進めることが可能になります。UAE国外でPOAを発行する場合、POAも政府認証が必要です。POAでは当局での申請・署名手続きなど、当該会社のマネージャー変更手続を当局で遂行する権限を代理人に付与する旨を明記します。

新任マネージャー自身に会社を代表する包括的権限を与える場合は、新任者宛のPOAでその権限(銀行口座の開設・取引、労働許可の署名、契約締結など具体的な権限事項)及び会社の業務執行に関する一切の権限を付与する旨を記載するとよいでしょう。UAEでは、会社運営の様々な手続き(政府関係、銀行、公証役場、警察、裁判所、電気・水道当局、車登記、通信局など)に会社からの委任状が必要な場合があります。該当する当局が記載されていない場合、手続きが行えない場合があるのでPOAには該当当局を具体的に記載するようにします。


第7章: 書類の認証(アテステーション)とアラビア語翻訳

当局に提出する取締役会決議書やPOAでUAE外国で署名・発行されたものについては、公証と認証(アテステーション) を経る必要があります。具体的には、決議書が国外(例えば日本)の親会社で署名された場合、その書面を現地(日本)の公証人に公証してもらい、さらに(在日本)UAE大使館で認証を受けます。その後UAEに持ち込み、UAE外務省(MOFAIC)で最終認証を受けるプロセスです。この一連の認証を完了した書類でなければ、UAEの当局で公式文書として受理されません。メインランドの場合、UAEの法定翻訳者によるアラビア語翻訳後、UAE外務省で認証を取るのが基本です。

一方、書類がUAE国内で作成・署名される場合は、フリーゾーンによってはフリーゾーン当局の職員立会いのもと署名することで公証手続を代替できる場合があります。フリーゾーンによっては、署名見本やKYC書類に認証を求められる場合もあります。自社に必要な手続きを確認するようにしましょう。


第8章: 法人銀行口座の代表サイン権の手続き

見落としがちなのが法人銀行口座の対応です。時間がかかるため前もって早く対応しておきましょう。取締役会決議書や新マネージャーの個人情報を元に、各銀行で申請書を記入し銀行へ提出します。銀行によっては半年間変更できなかったケースもあり、そのような場合は別の信頼のおける銀行への変更も検討が必要です。不測の事態に備え、複数の銀行口座を持っておくことなどのリスク回避も大切です。


第9章: マネージャー登録変更後の諸手続き

マネージャーは会社運営の権限を持っているため、会社登記以外の様々な機関の登録も変更を行う必要があります。従業員ビザのサイン者変更なども忘れずに行うようにしましょう。
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